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タレントマネジメントシステムの選び方ガイド 10製品の長所と短所(3/3 ページ)

» 2024年03月26日 10時00分 公開
[Eric St-JeanTechTarget]
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タレントマネジメントシステム10選

 タレントマネジメントシステムの製品は多種多様だ。ここからはグローバルで使われている10製品を例に挙げて、それぞれの特徴を紹介する。

360Learning

 「360Learning」は、従業員が自身の専門知識を同僚と共有できる共同学習プラットフォームだ。学習管理システム(LMS)や学習体験プラットフォーム(LXP)に加えて、コミュニティー作成機能や、自分に最も適したコンテンツを見つけるのに役立つAIツールなども利用できる。

 長所は以下の通り。

  • 学習管理システムと学習体験プラットフォームがまとめられている
  • ユーザーなら誰でもコンテンツを作成し、知識を共有できる
  • 従業員の共有設定を管理する機能を内蔵している
  • 従業員に推奨される研修を提案するAIがシステムに組み込まれている
  • 他の多くのツールとの統合が可能なので、販売管理ソフトなど、従業員がすでに日常的に利用しているシステム内で学習の機会を提供できる

 短所は以下の通り。

  • レポートとダッシュボードに改善の余地がある
  • 機能や設定の選択肢が多く、新規ユーザーにとっては難しい
  • 講座を共同で作成するのが難しいケースがある。これは特に2人のユーザーが同時に編集しようとしている時に顕著となる

BambooHR

 比較的小規模の企業向けに開発された「BambooHR」では、従業員ライフサイクルをサポートするさまざまな機能がある他、UIも従業員や人事部門にとって直感的で使いやすい。BambooHRとの接続インタフェースがあらかじめ組み込まれたニッチベンダーの製品も多く、こうした製品ならば統合も容易だ。

 長所は以下の通り。

  • 多くの企業にとって手ごろな価格で提供されている
  • データの一元管理や追跡、分析が可能
  • 統合もメンテナンスも簡単に実行できる
  • 技術サポートのレスポンスが迅速
  • 従業員にとって分かりやすく、使いやすいUI
  • 年単位の契約が義務付けられていないため、次の支払いの前にいつでもキャンセルできる

 短所は以下の通り。

  • デフォルトのレポートの設定が変更できず、重要データが含まれない場合がある
  • セキュリティロールを設定する際のオプションが、不足している場合がある
  • 環境設定の項目(ある従業員の生年を一部のユーザーに非表示にするなど)に制約がある

Ceridian Dayforce HCM

 自社の人事システムに給与支払い機能を組み込みたいと考えるグローバル規模の企業のためのタレントマネジメントシステムが「Dayforce」だ。求人やコアHRといった一般的なHRモジュールも内蔵している。

 長所は以下の通り。

  • さまざまな国の通貨やポリシーに対応し、グローバルで働く人材を管理できる
  • 内蔵機能を使うと、従業員が好きなタイミングで給料を受け取れる
  • テスト環境をリセットするプロセスがシンプルかつ効率的
  • コアHRや従業員教育、勤怠管理、キャリアプランニングなどのモジュールが用意されており、ユーザーは全ての人事関連タスクを1つのシステム内で管理できる

 短所は以下の通り。

  • システムに不要とされることもあるポジション管理機能が組み込まれている
  • ユーザーが依頼した機能の実装に時間がかかることがある
  • UIは許容範囲だが、モダンとは言いがたい
  • システム管理の手順がかなり複雑。システム管理者が専任でない場合には、なおさら困難を覚える恐れがある。

ClearCompany

 「ClearCompany」のソフトウェアは、求人やオンボーディング、従業員エンゲージメント、パフォーマンス管理といった分野で企業をサポートする機能を擁している。また、レポートおよび分析ツールも搭載されているため、人事部門のスタッフや社内のリーダーが各プロセスの進捗(しんちょく)を管理するのに役立つ。

 長所は以下の通り。

  • 履歴書の評価や職務記述書の草稿作成ができるAIが搭載されている
  • パフォーマンス管理機能に、コンピテンシーに関するライブラリが含まれている
  • UIがモダンで直感的な操作が可能
  • メールやスケジュール、人事システムなど、広く利用されているインタフェースがあらかじめ用意されている

 短所は以下の通り。

  • レポートとダッシュボードが使いにくく、カスタマイズの範囲も狭い
  • 従業員表彰ツールに、従業員向け社内褒賞ポイントが含まれていない
  • コアHRデータの管理にHRIS(Human Resource Information System:人事情報システム)が必要になる

HRSoft

 「HRSoft」のソフトウェアでは、パフォーマンス管理や報酬、ペイエクイティ(同一労働同一賃金)、総報酬明細書の管理を自動化できる。このソフトウェアは報酬回りの業務にフォーカスしており、昇給の配分や同一労働同一賃金の検証、従業員の総報酬の把握などの作業を容易にする。

 長所は以下の通り。

  • 報酬計画を策定する際に、パフォーマンスに関するフィードバックを参照できる
  • さまざまな通貨に対応している
  • 従業員は総報酬明細書で自分の報酬データを確認できる
  • 各国の制度や単発の昇給、さらにはストックオプションやボーナスなどを含む複雑な報酬制度に対応している

 短所は以下の通り。

  • 他社製品と比較すると若干価格が高い
  • システム管理者向けの製品トレーニングコースの一部が有料
  • HRSoftとHRISを結ぶインタフェースは、必ずしもシームレスとはいえない

Kudos

 「Kudos」は従業員向けの社内褒賞および表彰に特化したソフトウェアだ。従業員サーベイの他、「Spaces & Galleries」を用いた写真や情報の共有機能も備えている。また、広く使われているアプリケーションと統合することも可能だ。

 長所は以下の通り。

  • 複数の国の従業員が各自に付与されたポイントによって表彰を受けられる
  • 企業文化に即した社内目標に照らして従業員を表彰できる
  • 月間優良社員プログラムなど、ノミネートベースの表彰に対応している
  • 操作方法を覚えやすいUIを採用している

 短所は以下の通り。

  • 従業員表彰に関するフィードバックの対象が誰なのかが判別しにくい
  • 管理職がパフォーマンスレビューを作成する際、Kudosのプラットフォームに移動しなければシステムに保存されている従業員表彰に関するデータに簡単にアクセスできない
  • 過去の行動に対する褒賞に重点が置かれており、達成時に一定数のポイントを参加者に与えるなど、インセンティブを従業員に与える手段が提供されていない

Lattice

 「Lattice」のソフトウェアには、パフォーマンス管理や報酬、能力開発、従業員エンゲージメントといったモジュールが組み込まれている。各モジュールのデータを統合するHRISの開発も現在進行中で、これが導入されればサードパーティー製のHRISを使う必要はなくなる。

 長所は以下の通り。

  • 報酬計画を策定する際、パフォーマンス管理に関するデータを確認できる
  • 一般的なメッセージングツールとの統合が可能で、表彰内容を公開できる
  • 新入社員へのサーベイの実施、eNPS(Employee Net Promoter Score:従業員が自社への入社を周囲の人に勧める度合いを示したスコア)の計算、パルスサーベイの送信など、エンゲージメント測定に役立つ多くのツールを備えている
  • 人事部門と管理職、一般従業員が社内表彰に関する目標を設定すると同時に現在進行中の従業員および管理職へのフィードバック管理を支援する「Grow」モジュールが搭載されている

 短所は以下の通り。

  • 新規ユーザーにとって直感的に使えるUIとはいえない
  • カスタムレポートが作成しにくい
  • 命名規則がニーズに合致していない場合があり、編集できないものもある
  • パフォーマンスレビューに関して一般社員や管理職が利用できるオプションが多く、それがプロセスの複雑化を招いている

Salary.com

 「Salary.com」のソフトウェアは総報酬管理に重点を置いており、給与調査やそれに関連するデータ、同一労働同一賃金を順守する機能、職務記述書の管理、特定の職務に対する賃金を決定するためのツールなどが組み込まれている。同社は報酬計画ソフトウェアを開発するCompXLを買収しており、サービスのさらなる充実を図っている。

 長所は以下の通り。

  • 職種ごとの報酬設定を行う際にユーザーがレビューできる職種の幅が広い
  • 多くの主要HRISとの統合機能があらかじめ組み込まれている
  • 同一労働同一賃金の順守や、ダイバーシティとインクルージョン促進に向けた取り組みの管理に役立つ支援ツールが用意されている
  • 複数の従業員が共同で職務記述書を作成、更新できる機能が搭載されている

 短所は以下の通り。

  • 報酬の比較に必要なデータがデータベースに含まれていない場合がある
  • 機能やオプションが多いため、使いこなせるようになるには時間がかかる
  • ユーザーによっては、Salary.comのソフトウェアで作成した職務記述書を会社の採用管理システムに取り込むのに苦労するかもしれない

SAP SuccessFactors HXM Suite

 「SAP SuccessFactors」は「ヒューマンエクスペリエンス管理」(HXM)の名の下に、タレントマネジメントに必要な全機能を提供している。そのターゲットは大企業だ。さまざまな設定が可能で、ルック・アンド・フィールもプラットフォーム全体で統一されている。

 長所は以下の通り。

  • パフォーマンス管理と報酬モジュールが統合されている
  • オールインワン型で、高度なレポート作成およびダッシュボード機能がある
  • 多くの通貨と言語に対応している

 短所は以下の通り。

  • 管理者の観点から見ると、メンテナンスが複雑
  • 買収により獲得したシステムを統合しており、複数のデータベースが含まれる
  • 別のアプリから取り込まれたモジュールには独自のコンフィギュレーションが必要になり、管理が煩雑化することがある。例えば、該当するモジュールに応じて、さまざまな場所にセキュリティロールを設定する必要がある

Workday HCM

 Workdayは米国内外のユーザーに向けて、包括的かつさまざまな設定が可能なSaaS型タレントマネジメントシステムを提供している。

 長所は以下の通り。

  • 財務や計画策定、分析に相補型モジュールが利用できる
  • UIが従業員にも直感的で使いやすい
  • 多国籍の巨大企業が持つ複雑なニーズにも対応できる
  • プラットフォームが統合されているため、システム全体を管理できる

 短所は以下の通り。

  • 大型システムのため導入に比較的時間がかかる
  • 新機能のカスタマイズや実装のプロセスにかかるコストが割高になることがある
  • 休暇届の提出や実働時間の把握といったタスクの実行が複雑で煩わしい
  • 柔軟性に欠ける部分があり、求人応募者への面接の質問票に新たな質問を追加する場合はシステム管理者が承認し、さまざまな設定をしなければならない

 タレントマネジメントの複雑さを完全に解消してくれるシステムは存在しないが、正しいアプローチでソフトウェアを選べば、求人応募者、従業員の双方にとって有意義な体験を生み出そうとする人事部門の一助になるはずだ。

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