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Salesforce、ゼロコピー統合を可能にする「Zero Copy Partner Network」を発表

多くの企業はさまざまなシステムに分散したデータと格闘している。ゼロコピーによるデータ統合によってユーザーはどのようなメリットがあるのだろうか。

» 2024年05月02日 17時00分 公開
[キーマンズネット]

 米Salesforceは、「Salesforce Zero Copy Partner Network」を発表した。「Salesforce Data Cloud」とのゼロコピーによるデータ統合を可能にし、ローコード開発プラットフォーム「Salesforce Einstein 1 Platform」でのデータ活用を可能にするエコシステムだ。

なぜ、ゼロコピーが重要なのか

 Salesforce Data Cloudは構造化および非構造化データを問わず、全てのデータを統合可能で、Salesforceでアクセス可能な360度のビューを提供する。業務フローの中で直接データに基づいた意思決定が可能となる。

 Salesforce Data Cloudは、AIの基盤も提供する。データを一元化してクレンジングすることで、AIモデルが正確な情報に基づいて動作する。

 Salesforceは「Amazon Redshift」や「Databricks」「BigQuery」「Snowflake」との連携を通じて、ゼロコピーによるデータ統合のコンセプトを導入した。

 ゼロコピーなしでSalesforceから外部データウェアハウスにデータを統合するには、カスタム統合と複雑なデータパイプラインに頼る必要があった。また、従来のデータ抽出や変換、ロード(ETL)プロセスやデータパイプラインとは異なり、ゼロコピー統合によってデータをビジネスアプリケーションに効率的かつ安全に接続する方法を提供する。

 ゼロコピー統合により、次のことが可能になる。

コピーなしで(リバースETLなしで)ライブの外部データにアクセス: ゼロコピーなしで(リバースETLなしで)他のシステムからデータにアクセスするこれまでの方法は、コストがかかっていた。ゼロコピー統合により、クエリまたはファイルへの仮想アクセスによってデータが存在する場所からデータにアクセスできる

業務フロー中で、どこからでもデータにアクセス可能: Data Cloudに取り込まれたデータはSalesforceのメタデータフレームワークの一部となり、BI(Business Intelligence)やAIインサイトの生成、マーケティングのセグメンテーションや有効化、セールス、サービス、マーケティング、コマースにわたる統一された顧客体験の作成、「Tableau」によるデータ分析など、さまざまな方法で使用できる

Customer 360のインサイトをコピーなしで共有: Salesforceのゼロコピー統合は、単にデータウェアハウスやデータレイクからデータを読み取るだけではない。データを複製することなく、AIやBIのインサイトとともに、統合された顧客データなど貴重なインサイトを共有できる

ガバナンスとセキュリティの維持: 従来のデータガバナンスはソースデータの整合性を維持するためにシステム間でデータを手動でコピーすることが多く、下流に移動するデータの追跡機能が犠牲になっていた。ゼロコピー統合は、手作業によるデータ移動を排除しデータが元の場所に残るため、データの系統が維持される。さらに、データソース自体で一元的なアクセス制御が可能になるため、セキュリティ管理が簡素化され、データをビジネスに公開する際のリスクを最小限に抑えることができる。

生成AIのグラウンディング: 構造化データだけでなく、PDFや通話記録、メールなどの非構造化データにも接続できるゼロコピー統合機能により、「Einstein Trust Layer」を通じて送信されるAIプロンプトに統一されたビジネスデータを迅速かつ容易に取り込むことができる。既製のLLM(大規模言語モデル)をチューニングすることなく、全てのSalesforceアプリケーションに適切な生成AIを導入できる

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