OracleのOracle E-Business Suiteは、ERPとCRMの機能を備えた製品だ。本製品の概要やOracle Fusion Applicationsとの違いを確認しよう。
「Oracle E-Business Suite」は2001年にリリースされた、Oracle初のERPパッケージだ。Oracle E-Business Suiteの特徴や「Oracle Fusion Applications」(以下、Oracle Fusion)との違い、導入の基本手順を紹介する。
Oracle E-Business Suiteは、Oracleのポートフォリオのでも特に使用されているビジネスアプリケーションラインだ。Oracleの主力製品「Oracle Database」で実行されるのも特徴の一つだ。
2011年には、Oracle E-Business Suiteと「JD Edwards」「PeopleSoft」および「Siebel」のさまざまな機能や特徴を組み合わせたOracle Fusionがリリースされたが、OracleはE-Business Suiteの更新とサポートを積極的に続けており、当面はこれを継続する予定だ。
SAPやMicrosoft、Workday、Inforなどのベンダーが提供する競合製品と同様、Oracle E-Business Suiteは、「ユーザーによるグローバルビジネスの管理」「意思決定の改善」「コストの削減」「企業の業績の向上」を支援するように設計されている。
E-Business Suiteには顧客関係管理(CRM)や財務管理、人的資本管理、プロジェクト・ポートフォリオ管理、調達、バリューチェーン計画、サプライチェーンマネジメント(SCM)などさまざまな側面をサポートするアプリケーション・モジュールが含まれている。
ビジネスインテリジェンス(BI)も統合されているため、BIとアナリティクスも利用できる。また、CRMやERP、SCMプロセスを自動化するための統合ビジネスアプリケーションセットでもある。
その他、人的資本管理や資産ライフサイクル管理、受注管理、調達、プロジェクトポートフォリオ管理、ビジネスインテリジェンスと分析が含まれる。バージョンによっては、高度な調達やバリューチェーン・プランニング、バリューチェーンの実行なども実装されている。
Oracle E-Business SuiteとOracle Fusionは、どちらも包括的なビジネスアプリケーションスイートだ。主な違いは、そのアーキテクチャとユースケースにある。
E-Business Suiteは基本的に、レガシーアーキテクチャを採用した従来型のオンプレミスソリューションだ。一方、Oracle Fusionはクラウドベースのモダンで柔軟性の高いソリューションだ。
どちらが最適かは、現在のインフラやビジネスニーズ、目標によって変わる。Oracle E-Business Suiteは、完全に制御可能で高度にカスタマイズ可能なシステムを必要とする企業に最適だ。Fusionは、ユーザーフレンドリーでよりモダンなシステムを求める企業に適している。
Oracle E Business Suiteを使用するための基本的な手順は以下の通りだ。
Oracle E-Business Suiteが管理するビジネスプロセスと機能を特定する。これによって、サプライチェーンや財務、人事など、どのモジュールを使用するかを決定できる。
Oracle E-Business Suiteソフトウェアをオンプレミスまたはクラウドにインストールし、固有のビジネスプロセスに基づいて各モジュールを構成する。そして、パラメーターの設定やワークフローの定義、フォームとレポートのカスタマイズを実施する。
インストールと設定では、レガシーシステムからOracle E-Business Suiteへのデータ移行が重要だ。これには、従業員記録や顧客情報、在庫、財務データなどの情報が含まれる。移行中にデータの整合性と正確性を確保することも重要だ。
E-Business Suiteを、Oracleの他のアプリケーションや、CRMやサードパーティーアプリケーション、外部データベースなど現在のビジネスシステムと統合する。
システムにアクセスするためのユーザー名とパスワードを設定する。Oracle E-Business Suiteのインタフェースには、多くのメニューやボタン、アイコンがあり、初めて使用するユーザーは圧倒されるだろう。
特定の役割に必要な機能だけを使用し、割り当てられたタスクと権限に従って操作するといった、自分の責任の範囲と許可されたタスクを理解することが重要だ。
OracleはOracle E-Business Suiteの新規ユーザーを支援するために、オンラインチュートリアルやインストラクターによる指導のコース、ユーザーガイドなど、さまざまなトレーニングリソースを提供している。
2012年にリリースされたOracle E-Business Suite R12では、ソーシャルコラボレーションツールの改善や、モバイル機能の強化、Oracleのクラウドベースアプリケーションとの統合の容易化など、新機能と機能強化がされた。
OracleはE-Business Suiteの新バージョンをリリースしているが、E-Business Suite R12は現在も幅広く使用されている。
E-Business Suite Financialsは財務活動を管理するために設計されたソフトウェアだ。総勘定元帳や買掛金、売掛金、現金管理など、財務に特化したOracle E-Business Suiteのモジュールとアプリケーションが含まれている。
E-Business Suite Financialsは、あらゆる規模の企業のニーズに応える拡張性を備えており、財務パフォーマンスの正確性や効率性、コンプライアンス、可視性の向上を支援する。
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