部署、部門ごとで複数のSaaSや業務アプリケーションを使い分けながら業務を進めるスタイルが当たり前となった現在、1社当たりでどれくらいのSaaS、アプリが利用されているのか。
アイデンティティー管理サービスを提供するOktaの日本法人Okta Japanは、「Okta」と業務アプリが連携する「Okta Integration Network」」(OIN)の匿名化されたデータ(2023年11月1日〜2024年10月31日)を分析し、業務アプリの利用動向を調査した年次レポート「Businesses at Work 2025」の結果を発表した。
1社当たりの平均導入アプリ数は前年比9%増の101個。これは、世界中の企業が業務アプリへの投資を拡大していることを示す。国別で見ると米国が最も多く、前年比9%増の平均114個だった。前回の調査では日本は平均35個と最も少なかったが、今回の調査では前年比31%増の平均46個となり、国別で見ると最も高い成長率を記録した。
この結果を企業規模別に見ると次のような結果となった。
従業員数2000人以上の大企業で導入されているアプリ数は平均247個で、従業員数2000人未満の中小企業では平均71個だった。
顧客数別の全体ランキングでは前回から大きな変動はなかったが、Palo Alto Networksが14位にランク入りした。スタートアップ企業では2024年に2位だった「Amazon Web Services」(AWS)が「Google Workspace」を抜いて1位となり、同じく4位だった「Slack」が「Microsoft 365」を抜いて3位に浮上した。「Fortune 500」選出企業のランキングでは、「GitHub」が8位から5位へ、Palo Alto Networksは10位から7位、そしてGoogle Workspaceは14位から10位へと上昇した。
顧客数別の全体ランキングは前回から大きな変動はなかったが、GitHubが9位から8位へランクを上げた。GitHubは国内で最も成長率の高いアプリであり、25%の成長率を記録した。また、「Box」(5位)と「Netskope」(10位)は2024年に引き続き上位10位内に入った。これらはグローバルのランキングには見られない日本特有の傾向だ。データコンプライアンスアプリのVantaが2年連続で1位を維持し、同じくデータコンプライアンスアプリのDrataが8位にランク入りした。
今回、新たにランクインしたアプリとして、パスワード管理アプリの「Bitwarden」(2位)、法人向け出張サービスに注力する「Uber」(5位)、調達ツールの「Zip」(6位)、そしてクラウド基盤の「Oracle Cloud Infrastructure」(7位)が挙がった。
OktaとMicrosoft 365を利用しているユーザーを対象に、併用しているアプリの割合を調べた項目では、Microsoft 365と併用してAWSを利用しているユーザーの割合は2024年と比較すると48%から50%に増加した。また、Google Workspaceを併用している割合は45%から48%に、Slackは38%から40%へと増加した。
最も利用されているセキュリティツールはVPNやファイアウォールであり、半数を超えるOktaユーザーが「利用している」と回答した。成長率は前年比2%だった。日本においてもセキュリティ製品の中でもVPNとファイアウォールの成長率が最も高く、前年比32%の成長率だった。
また、データコンプライアンスツールを利用するユーザーはまだ少ないものの、特に北米では高い成長率を示した。カナダでは前年比63%、米国では46%の成長率を記録し、全体で50%の成長率だった。さらに、パスワード管理ツールも引き続き堅調に成長を続けており、前年比9%の成長率だった。
Oktaユーザーがフィッシング耐性のある認証要素へと急速にシフトしている。フィッシング耐性を備えたパスワードレス認証のMFA(多要素認証)「Okta FastPass」は前年比52%増と大幅に成長し、セキュリティキーや生体認証の成長率は前年比16%増となった。
一方、これまで主流だったSMSやボイスコールなどの電話ベースの認証要素への依存は大幅に減少し、前年比14%減となった。
より安全でシームレスなログイン方式としてパスワードレス認証は世界中で急速に普及しつつある。Oktaのパスワードレス認証ソリューションであるOkta FastPassの認証件数は前年比で377%増加した。国別利用状況を分析すると、ユーザー1社当たりのOkta FastPassによる平均認証件数はフランスがトップだった。米国は2番目に高い平均認証件数だった。日本は3番目に高い平均認証件数だったが、他の国と比較すると生体認証の採用率が最も低い結果となった。
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