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Web会議だけじゃない、無駄作業をAIに丸投げできる「Zoom AI Companion」とは?

AI時代の業務改革を進めるには、「任せられる業務はAIに任せ、人は本当に重要な仕事に集中する」という考え方が鍵となる。Zoom AI Companionはその働き方をどのように実現するのか。

» 2025年05月13日 07時00分 公開
[平 行男合同会社スクライブ]
ZVC JAPAN 面谷修平氏

 ZVC JAPANの面谷修平氏(シニアソリューションズエンジニア)は、「顧客の期待が日々高まる現在、ビジネスの成長に集中するためには、まず定型業務に追われている働き方を見直すことが重要。AIに任せられる業務はAIに任せ、自分は本当に価値のある仕事に専念すべき」だと語る。

 Zoom Communicationsは、こうした働き方の実現を支援するツールとして、AIアシスタント機能「Zoom AI Companion」を提供している。

「Zoom AI Companion」とは? 何ができ、仕事にどう使えるのか

 ミーティングツールとして知られている「Zoom Meetings」。現在はそのサービス領域を拡大し、「Zoom Workplace」と「Zoom Business Service」という2つのプラットフォームを中核に据えている。

 コラボレーションプラットフォーム「Zoom Workplace」は、ミーティングやチャット、ドキュメント、クリップ、ホワイトボード、カレンダーといったツールを統合し、従業員間の円滑なコラボレーションを支援する。一方、「Zoom Business Service」は「Contact Center」や「Virtual Agent」「Revenue Accelerator」などによって顧客接点を強化し、企業のビジネス成長を後押しする。

 この2つのプラットフォームを横断してユーザー業務を支援するのが、AIサービス「AI Companion」だ。

 Zoom AI Companionは2023年9月に登場し、当初はミーティングの要約機能を提供するツールとして始まった。その後、2024年10月のアップデートにより、Zoomクライアント全体を横断して重要な情報やタスクの抽出が可能となった。現在では、ユーザーに代わってタスクを提案・実行するエージェンティックAIとしての機能も追加された。

 こうした高度なAI機能をZoomの有料サービスを利用しているユーザーであれば無償で活用できる。また、Zoom Communicationsは顧客のコンテンツをAIモデルのトレーニングに使用しないという方針を明確に示している。

デモで解説、Zoom AI Companionの機能と使い方

 面谷氏は、AI Companionが現在の業務をどのように変革するかをデモを通じて紹介した。架空の人物であるテーマパークのセールスマネージャー、ダレル氏を例に挙げ、具体的な業務シーンでの活用方法を示した。

対面会議での議事録作成

 最初に紹介されたのは、対面会議における議事録作成のシーンだ。レストランの売り上げの低下という課題に取り組むダレル氏は、カフェでマネジャーと打ち合わせをし、その様子をスマートフォンのZoomアプリで録音した。AI Companionは録音された会話を自動的に文字に起こし、要約やアクションアイテムを抽出する様子が紹介された。

 AI Companionによってユーザーは会議中にメモを取る必要がなくなり、議論に集中できる。また、録音後に話者名を設定することで、話者ごとに分離された文字起こしテキストを議事録として生成できる点も大きな利点だ。

 なお、AI Companionによる音声レコーダー機能は、英語版が2025年4月、日本語版が2025年6月にリリースされる予定だ。

図1:AI Companionによる音声レコーダー(出典:イベント投影資料)

スケジュール調整と会議進行管理を支援

 打ち合わせ内容から生成された議事録には、エグゼクティブサマリーと次のステップが記載されていた。ダレル氏はこの議事録をZoomのチームチャットで共有し、メンバーとのやりとりを通じて、キックオフミーティングの開催が必要であることが分かった。

 この文脈を理解したAI Companionは、「キックオフミーティングの予定を作成しますか」とユーザーに提案した。続いて、連携されたカレンダーから参加予定者全員のスケジュールを参照し、最適な日時を自動で見つけて会議の予定を作成した。

 会議の開催に先立ち、AI Companionは進行時間の目安を含むアジェンダを自動的に作成した。会議中はそのアジェンダに沿って進行することで効率的な議論が可能となり、参加メンバーは本質的な内容に集中できる。

 「ライブノート」機能が会議中の議論内容から要点やアクションアイテムをリアルタイムに抽出し、自動的にメモを作成する。仮に会議に遅れて参加した場合でも、ライブノートを確認することで、迅速に議論の流れを把握できる。

 これらの新機能は、2025年5月から6月にかけて順次リリースされる予定だ。

図2:AI Companionによるミーティングアジェンダ(出典:イベント投影資料)
図3:ライブノート(出典:イベント投影資料)

タスク管理とドキュメント作成支援

 キックオフミーティングが終了すると、AI Companionによって抽出された複数のタスクが「Zoom Tasks」に自動的に登録される。この機能は、ミーティングの要約やチャット、メール内のアクションアイテムを自動で検出し、タスクとして整理・管理するものだ。

 Zoom Tasks(英語版は既にリリース済み、日本語版は2025年4月にリリース予定)は、Zoom Workplaceの新しいタブとして利用可能であり、Zoom Docsにも埋め込みが可能だ。個人およびチーム、プロジェクト単位のタスクを一元的に管理できる。

 デモでは、ダレル氏がタスクリストの中から「レストランの売り上げを20%増加させるためのプロジェクト計画書を作成する」というタスクを選択し、Zoom Docsで計画書を作成する様子が紹介された。

 このシーンで活用されたのが、AIによる文章作成サポート機能だ。高度な参照機能とクエリ処理により、文脈に合った執筆計画を自動的に立ててくれる。さらに、社内外の情報ソースを検索し、必要な内容をドキュメントに反映させることも可能だ。より正確で質の高いアウトプットの作成をサポートする。

 なお、この文章作成支援機能は、2025年7月に英語版がリリースされる予定だ。

図4:Zoom Tasks(出典:イベント投影資料)
図5:AI Companionによる文章作成サポート(出典:イベント投影資料)

カスタムAIを作成できる機能も近日リリース予定

 最後に面谷氏は、オプションサービスである「Custom AI Companionアドオン」を紹介した。これは、企業固有のニーズに合わせてAI Companionを柔軟にカスタマイズできる機能だ。英語版は2025年4月、日本語版は2025年度前半のリリースが予定されている。

図6:Custom AI Companionアドオン(出典:イベント投影資料)

 主な特徴としては、まず「知識の拡張」が挙げられる。カスタム辞書の作成や、自社が保有するデータインデックスを使ってAIの理解力と精度を高めることができる。また、ミーティングの要約用テンプレートを企業独自のフォーマットに合わせて設定することが可能だ。さらに、個人の業務効率と成長を支援するものとして、AIアバターによるクリップ動画の作成や、パーソナルコーチ機能なども提供される。

 加えて、「Microsoft Teams」や「Google Meet」など、サードパーティーのミーティングアプリとの連携にも対応している。Zoom以外の各種Web会議ツールを使用した場合でも、AI Companionが会議内容を高品質に要約し、ユーザーが選択したテンプレートで出力することが可能だ。

 面谷氏は最後に、「CXの向上にはEXの向上が不可欠です。顧客により良い体験を提供するためには、まず社員やスタッフの体験をより良いものにすることが必要であり、そのためにAI Companionが支援します」と語り、プレゼンテーションを締めくくった。

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