LIXILはオンラインショールームを強化し、非対面でも高品質な接客を実現した。顧客・従業員双方の体験を向上させるために、Zoomをどう使ったのか。
住宅設備・建材を取り扱い、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、瀬戸欣哉氏のCEO就任以降、デジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進し、「仕組みで動く会社」への転換を掲げ、業務の標準化とシステム化による収益性の向上を図ってきた。
その一環として取り組んだのが、ショールームのオンライン化だ。現在LIXILでは、事前予約で時間をかけて相談できる「予約型オンラインショールーム」に「Zoom Meetings」(以下、Zoom)を、即時対応が可能な「即時型オンラインショールーム」には「Zoom Contact Center」を活用することで、顧客体験および従業員体験の向上を考えた。
LIXILは2018年からZoomを含むWeb会議ツールを業務に活用してきたが、2020年のコロナ禍をきっかけにオンラインショールームにも導入。来店が難しい状況下でZoomを用いたオンライン接客を開始したところ、顧客から高い評価を受けた。これを契機に、従来の予約型に加えて即時対応型のサービス提供を本格的に開始した。
当初、オンラインショールームには他社製品を採用していたものの、画質や音質の不安定さ、適切なスタッフとのマッチングの難しさ、長い待ち時間などの課題が浮上した。これを受けて2023年にシステムの見直しに着手し、約1年をかけてZoom Contact Centerの導入を決定した。
導入の決め手は、Zoomの「共創的な開発姿勢」と「迅速かつ柔軟な対応力」だった。さらに、Zoomの開発支援サービス「Professional Services Organization」(PSO)を通じて即時型相談に最適化された独自UIを構築できたことも大きな要因だ。こうした取り組みを経て、2024年秋にZoom Contact Centerの本格導入を果たした。
導入後は、混雑状況をリアルタイムで表示できる仕組みや、スキルベースルーティングによる最適な担当者の割り当てにより、顧客満足度が向上。従業員は直感的で使いやすいUIや、他のZoom製品との高い連携性を評価した。
LIXILでは、全世界で約75000のZoomアカウントを運用しており、地域ごとに管理者を配置することで、柔軟かつ効率的にアカウントを管理している。ユーザーの追加・削除やライセンス付与などの業務負荷も軽減された。
オンラインショールームの導入により、顧客は来店せずに相談できるようになり、家族と遠隔で参加する新たな顧客体験も創出。また、テレワーク環境の整備が進んだことで、ライフスタイルの変化による離職の抑制や、元従業員の再雇用にもつながり、人材育成・採用にかかるコスト削減にも貢献した。
さらに、2024年秋には横浜に無人型オンラインショールーム「LIXILスタジオ港北」を開設した。Zoom Contact Centerをはじめとしたデジタル技術の活用を通じて、LIXILは今後も顧客および従業員の体験価値向上に取り組んでいく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。