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JTBのCopilot活用、約3240時間の業務削減効果を見込む、「自分の業務にどう生かせるか」具体的なイメージに

JTBでは「Microsoft 365 Copilot」の活用推進のため、eラーニングやワークショップの受講を実施。一人一人が自身の業務におけるCopilotの活用法を考える「自分ごと化」を促す。

» 2025年10月16日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 旅行業を展開するJTBは、生成AIの活用推進の一環として、スキルアップNeXtによる「Microsoft 365 Copilot」(Copilot)の定着化支援サービスを受けている。

 研修と伴走支援により、Copilotの毎日利用率が増加したほか、年間で最大約3240時間の業務時間削減につながる活用法が創出されたという。

eラーニングでCopilot学習、「自分の業務にどう生かすか」につなげる

 JTBでは以前から、社内専用AIチャットの提供をしているほか、希望者に対してはCopilotを利用できる環境を整えるなど、生成AIの活用を推進していた。

 一方で、各ツールの機能説明だけでは「自分の業務にどう生かすか」という具体的なイメージにつながりにくく、特にCopilotについては教育機会も十分に提供できていないという課題もあった。

 そこで、eラーニングでMicrosoft 365 Copilotの機能や特性を効率的・体系的に学んだのち、実務での活用アイデアを発想するアイデアソンを実施。ワークショップ形式で質問会を行い、業務での実践で生まれる疑問や課題に講師が伴走した。受講者のプロンプトスキルを磨きつつ、参加者一人一人が自身の業務におけるCopilotの活用法を考える「自分ごと化」を促した。

 その結果、毎日Copilotを利用する従業員の割合が、研修前の51.6%から25.3ポイント増加し、76.9%となった。

 また、Copilot作成質問会に参加した17人においては、月に合計約48時間の業務削減効果が出ており、研修で生まれた活用法を全受講生に展開・実施した場合、月当たり約274時間、年間で最大約3,240時間の業務削減効果が見込まれるという。

 具体的な事例としては、旅行の工程表作成業務において、観光地提案や工程プランニング、工程表への落とし込み・修正にCopilotを活用し、月間で10時間の作業時間を削減している。

AI推進担当者「熱量の高い層に確実に火をつけ、波及させていくアプローチが重要」

 JTBのデータインテリジェンスチームで生成AIの活用推進を担う茂手木氏は、「自分の業務を分解し、生成AIの活用アイデアを生むセオリーを学べたことで、多くの従業員が、何をしていいか分からない状態から確実な一歩を踏み出せました」と語る。

 また、「今回の研修は全社に一斉告知したわけではなく、社内にある生成AIのコミュニティー内でまず案内しました。そのため、もともと情報感度や学習意欲の高い層が集まってくれたことも、成功の大きな要因だと考えています。まずは熱量の高い層に確実に火をつけ、そこから波及させていくアプローチが重要だと改めて感じました」とし、今後は、この2400人以上の社員が参加している生成AIコミュニティーを、さらに活性化させていきたいと述べた。

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