クラウドAIの利用は決して安いものではない。AI利用がほぼ必須となる中、われわれはこれからどのクラウドAIベンダーと付き合っていけばよいのだろうか。選択の指針を明らかにしよう。
クラウド費用が上昇する中、ITリーダーはユースケースに適したクラウドAIプロバイダーをどのように選定するかを見直し、支出を抑える必要がある。
Gartnerのエド・アンダーソン氏(主席バイスプレジデント)は2025年10月20日(現地時間、以下同)開催の「Symposium/Xpo」で、次のように述べた。
「クラウドAIプロバイダーの選定は、クラウド戦略とAI戦略を結び付けることを意味する」
クラウドAIサービスとは、AI向けに最適化されたクラウドインフラや事前構築済みのモデル(注2)、AIアプリケーション、AIエージェント、開発ツールなどの機能を提供するクラウドベースのプラットフォームを指す。アンダーソン氏は「AIとクラウドは共生関係にある」と述べた。
「クラウドはAIに必要なインフラを提供する。AIサービスが必要とするコンピュートやストレージ、ネットワークといった基盤を整えるために、クラウドAIデータセンターの構築に対して多くの投資が行われている」
市場調査企業であるDell’Oro Groupが2025年の初めに公開した調査によると、2024年の世界のデータセンター投資額は2023年から51%増加し、4550億ドルに達した。そのうち上位10社のハイパースケーラーが全体の半分以上を占めている(注3)。また、GoogleやMicrosoft、Amazon Web Services(AWS)など主要企業は、2025年も引き続きAIインフラとAI機能の拡充に数十億ドルを投資するようだ(注4)(注5)。
クラウドプロバイダーを検討する際にはカテゴリについて考える必要がある。それはハイパースケールクラウドと特化型クラウドサービス、AI最適化型クラウドサービスの3つだ。さらにアンダーソン氏によると、特定のAIワークロードを分離できるという利点から、特に機密データを扱うモデルにおいて、プライベートクラウドの再評価が進んでいるという(注6)。
アンダーソン氏によると、クラウドAIプロバイダーを評価する際には、4つの重要なステップがある。
アンダーソン氏によると、ハイパースケーラーが市場を支配する一方で、AkamaiやExpedient、Vultr、DigitalOcean、Renderといった特化型クラウドプロバイダーは、ハイパースケーラーの提供範囲からこぼれ落ちるユースケースに対応しているという。またアンダーソン氏は、特化型クラウドベンダーの方が、特定の国で主権クラウドが必要になる場合など(注7)、ロケーション特有の要件をサポートするのに長けていると指摘した。
アンダーソン氏は「ネオクラウド」と呼ばれるAIに最適化されたクラウドプロバイダーもCIOの選択肢に入ると指摘した(注8)。AI最適化クラウドプロバイダーとしては、CoreWeaveやNVIDIA、DataCrunch、Runpod、Fluidstackといった企業が挙げられる。
調査企業であるSynergy Research Groupのデータによると(注9)、ネオクラウドの収益は2025年に230億ドルを超える見込みだ。また、この分野は2030年までに1800億ドル規模に達し、年平均69%という非常に高い成長率で拡大すると予測されている。
アンダーソン氏によると、ネオクラウドはAI向けに最適化されたサーバを備えており、ハイパースケールクラウドや特化型クラウドと同等の機能を提供するようだ。
「AI最適化クラウドの領域は、いわゆるネオクラウドだけに限定されるものではない」(アンダーソン氏)
アンダーソン氏によると、クラウドAIプロバイダーを評価する際、AIに特化したベンダーは、専門性によって組織全体の環境を補完する利点を持つ可能性があるという。
アンダーソン氏は「AIモデルの学習や推論が重要な機能であることは確かだが、次に焦点が当てられる領域はAIエージェントを構築および展開、管理する能力だ」と述べた。AIエージェントは重大なガバナンス上の課題を新たに生み出し、セキュリティの重要性をさらに高めるため、今後クラウドAIプロバイダーを評価する際の最重要ポイントの一つになるという。
アンダーソン氏によると、大半の組織は最終的にクラウドAI戦略においてハイブリッド型アプローチを採用することになるようだ(注10)。例えば、Microsoftの顧客であっても、別のハイパースケーラーや特化型クラウドプロバイダーの方が特定のビジネス目標を達成する上で適していると判断するケースがあり得るのだという。
「どんな状況であってもハイブリッド型アプローチは極めて重要になる。これらの環境は相互運用されなければならない。最終的にはサービスだけでなく、環境を支える複数のプロバイダーの組み合わせになることも十分にあり得る」(アンダーソン氏)
出典:4 tips for evaluating cloud AI providers(CIO Dive)
注1:5 Gartner predictions about IT’s future(CIO Dive)
注2:CIOs will gravitate toward purpose-built infrastructure in 2026(CIO Dive)
注3:Data center investments surged to $455B last year: report(CIO Dive)
注4:Data Center Capex Surged 51 Percent to $455 Billion in 2024, According to Dell’Oro Group(Dell'Oro Group)
注5:Google pours billions into AI, cyber and infrastructure expansion(CIO Dive)
注6:Is private cloud having a moment?(CIO Dive)
注7:Evolving cloud strategy: Why sovereignty and regional autonomy matter more than ever(CIO Dive)
注8:Neocloud Providers Charge Onto Generative AI Landscape(AI Business)
注9:Neoclouds Currently Growing by Over 200% per Year; Will Reach $180 Billion in Revenues by 2030(Synergy Research Group)
注10:Hybrid makes a comeback as cloud strategies mature(CIO Dive)
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