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AIOps導入で75%が負荷軽減を実感 それでも情シスが楽になり切らない理由

ボスコ・テクノロジーズは、AIOpsまたはAIを活用したIT運用自動化ツールを導入している企業の情シス担当者を対象にした調査結果を公表した。業務負荷の軽減効果が見られる一方、AIの誤検知や誤動作への対応が新たな負担になっていることも分かった。

» 2026年05月13日 08時45分 公開
[キーマンズネット]

 ボスコ・テクノロジーズは2026年5月12日、「AIOps導入企業の自動化実態調査」の結果を発表した。調査結果から見えるのは、AIOpsは業務を減らすが、運用現場から人の関与をなくすものではないという点だ。

AIOps導入企業の75.4%が業務負荷の軽減を実感

 AIOps導入の主な目的として最も多かったのは「IT運用の属人化を解消するため」で59.1%だった。次いで「運用コストを削減するため」(54.5%)、「アラート対応を迅速化するため」(52.7%)が続いた。運用体制の見直しや、監視、障害対応の効率化を目的に導入が進んでいることがうかがえる。

AIOpsまたはAIを活用したIT運用自動化ツールを導入した目的(提供:ボスコ・テクノロジーズ)

 導入効果については「大幅に減った」が24.5%、「やや減った」が50.9%で、合計75.4%が業務負荷の軽減を実感した。業務負荷が減ったと答えた人に、削減、軽減された業務を聞くと、「ログの目視確認作業」が67.5%で最も多く、「定型的な監視レポートの作成」が61.4%、「深夜、休日のアラート対応」「障害の一次切り分け作業」「インシデント記録やチケット管理」「障害原因の調査、分析作業」がいずれも53.0%だった。

AIOpsまたはAIを活用したIT運用自動化ツールで削減、軽減された業務(提供:ボスコ・テクノロジーズ)

 この結果だけを見ると、AIOpsは情報システム部門の負荷軽減に一定の効果を持つように見える。特にログ確認やレポート作成、一次切り分けのように、定型化しやすく、繰り返し発生する作業は自動化の効果が出やすい領域だ。人手が限られる企業にとって、こうした作業をAIで自動化、支援できることは大きな利点になる。

 一方で、AIOpsは運用現場から人の関与をなくすものではない。むしろ、AIが出した判断をどこまで信じるか、誤検知や誤動作が起きたときに誰が止めるか、後から検証できる記録を残せるかといった、新しい運用課題が生まれる。

誤検知、誤動作を経験した人の89.0%が対応を負担に感じる

 AIOpsまたはAIによる運用自動化の導入後に、AIの誤検知や誤動作を「よくある」「時々ある」と答えた割合は66.4%だった。誤検知や誤動作を経験した人に対応方法を聞くと、「AIが実行した結果を事後的に検証している」が64.4%、「その都度、手動で停止、修正している」が63.0%、「AIの実行前に人が内容を確認している」が61.6%となった。

AIOpsまたはAIを活用したIT運用自動化ツールの誤検知や誤動作を経験した割合(提供:ボスコ・テクノロジーズ)

 誤検知や誤動作への対応負荷については、「非常に負担になっている」が35.6%、「やや負担になっている」が53.4%で、合計89.0%が負担を感じていた。この89.0%は調査対象全体ではなく、AIの誤検知や誤動作を「ある」と答えた人を母数にした割合である点だ。それを踏まえても、AIOps導入後の現場で「確認作業」が重要な論点になっていることがうかがえる。

 AIがアラートを整理し、障害の一次切り分けを支援しても、その判断を確認する人、誤検知や誤動作時に処理を止める人、設定を見直す人は必要になる。結果として、従来の目視確認やレポート作成の負荷は減っても、AIの判断を監督する負荷が新たに発生する可能性がある。

AIに任せる範囲を決めなければ、確認作業が積み上がる

 AIに業務を任せることへの心理的抵抗を聞いたところ、「強く感じる」が19.1%、「やや感じる」が41.8%で、合計60.9%が抵抗を感じていた。抵抗を感じる理由としては、「誤検知や誤動作が起きたときに誰が責任を取るのか不明確だから」が68.7%、「どのような根拠でAIが判断したのか分からないから」が55.2%だった。

AIを業務利用することに抵抗を感じる理由(提供:ボスコ・テクノロジーズ)

 この結果は、AIOps活用の課題が「AIの精度」だけではないことを示している。AIが間違えるかどうかに加えて、間違えたときに誰が判断し、どこまで人が介入し、どのような基準で運用を戻すのかが問われる。責任分界や承認フローが曖昧(あいまい)なまま自動化を進めると、現場はAIの判断を毎回確認せざるを得なくなり、かえって負荷が増える恐れがある。

 証跡管理の面では、「全ての操作が詳細に記録されている」が46.4%、「主要な操作のみ記録されている」が31.8%で、合計78.2%が何らかの記録を残していると回答した。一方で、詳細な記録まで整備できている割合は半数に届いていない。

 今回の調査は、AIOpsが運用負荷の軽減に一定の効果を持つ一方で、導入後に新たな確認、修正などの業務が生まれることも示している。AIに任せる前提で人の作業を減らすには、対象業務の選定や実行前後の確認範囲、停止と修正の権限、証跡の残し方を設計しておくことが欠かせない。AIOps導入の成否は、AIの性能だけでなく、AIを前提にした運用体制をどこまで作れるかに左右されそうだ。

 なお、この調査は、AIOpsまたはAIを活用したIT運用自動化ツールを導入している企業の情報システム担当者110人を対象に、2025年11月12〜13日にかけてインターネットで実施した。

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