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製造業のペーパーレス完了は1割至らず 現実的なデジタル化で妥協も

LINE WORKSは製造業従事者を対象とした紙書類利用とペーパーレス化に関する調査結果を公表した。ペーパーレス化に着手する企業は80.9%で、全業務で完了した企業は8.9%にとどまった。紙利用は依然として根強く、特に取引関連書類ではペーパーレス化の遅れが目立つ結果となった。

» 2026年06月03日 07時00分 公開
[後藤大地キーマンズネット]

 LINE WORKSは2026年6月1日、従業員数1000人未満の製造業で働く225人を対象に実施した、紙書類利用とペーパーレス化に関する調査結果を公表した。ペーパーレス化へ着手する企業は80.9%に達したものの、全業務で完了した企業は8.9%にとどまった。紙を活用した業務が依然として残り、AI-OCRなどを用いた現実的なデジタル化を選ぶ企業が過半数を占めた。

製造業のペーパーレス化状況、停滞や紙への回帰を含む回答が4割超

 ペーパーレス化の状況を見ると、「ペーパーレス化の取り組みを進めている途中だが、滞りなく進行している」が29.8%、「ペーパーレス化に取り組んでいるが、思うように進んでいない・停滞している」が34.2%だった。「ほぼ全ての業務で、問題なくペーパーレス化が完了している」は8.9%となった。停滞や縮小、紙への回帰を含む回答は4割超に達した。

 「以前はペーパーレス化に取り組んでいたが、現在は縮小している・辞めた」企業において、「システム入力・確認作業など、ペーパーレス化により新たな工数が増えたため」が縮小や中止を選んだ主な理由として挙げられた。「想定よりも業務負荷が減らなかった・成果が出なかったため」「ペーパーレスの取り組みが定着しなかったため」という声も挙がっており、業務負荷や定着不足が課題であることが分かった。

 ペーパーレスの取り組みによる過去1年間の紙書類利用量の変化については、「やや減少したと感じる」が48.9%で最多だった。「大幅に減少したと感じる」は14.4%だったが、他方で「あまり変わらないと感じる」が27.2%を占めた。利用量が増加したと感じる企業や、一度減少したものの元に戻ってしまったとする企業も一定数存在してあり、ペーパーレス化への着手がかならずしも紙利用の削減へ直結していない実態が示された。

 業務で利用する紙書類は平均6種類だった。業種別では素材・化学が7.4種類で最多、自動車・輸送機器が6.8種類、食品・飲料が6.4種類、機械・電機が5.5種類、医薬品・医療が4.2種類だった。請求書や納品書、領収書、見積書など取引関連書類の利用が多く、対外業務に関わる書類では、依然として紙運用が残っている。現場・保守・品質管理関連書類ではデジタル化が比較的進んでいた。

 紙書類の利点としては、「書き込みやメモがしやすい」が53.8%で首位だった。「一目で全体を確認できる・一覧性の良さ」が49.3%、「共有・回覧しやすい」が28.4%で続いた。「万一のシステム障害時でも業務を継続できる」は23.1%、「電源やネットワーク環境に左右されない」は21.8%となった。視認性や運用面での利便性が評価された。

 今後の方針においては、「必要な紙業務は残しつつも、AI-OCRツール/帳簿読み取りツール等を導入してデジタル化・業務効率化を推進する」が50.7%で最多だった。「現状維持を考えている」は22.7%、「完全なペーパーレス化を目指し、取り組みを積極的に推進する」は16.0%となった。「ペーパーレス化には取り組まず、今後も紙中心で業務を進める」は9.3%、「ペーパーレスの取り組みを縮小し、紙に戻す方向で考えている」は1.3%だった。

 調査結果から、製造業ではペーパーレス化への着手が広がるが、他方で紙書類の役割は依然として大きいことが分かった。企業の多くは紙とデジタルを組み合わせ、AI-OCRなどを活用した業務効率化を進めている。

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