勤怠管理システムにはどのような機能が備わり、製品選定においてはどのような点に留意すれば良いのだろうか。
勤怠管理システムを導入する際には、従業員にとっての打刻の利便性だけではなく、労務管理の観点から「勤務実態と乖離しない打刻方法」を選ぶ必要がある。Webブラウザやスマートフォンで打刻できることは、外出の多い従業員にとっては便利だが、一方で工場のようにPCを設置できない職場や、機密管理の都合上スマートフォンが持ち込めない職場も存在する。
こうしたケースでは、それぞれの環境において従業員が業務を始めるタイミングと終えるタイミングでタイムリーに打刻できる仕組みを用意する必要がある。例えば、工場での勤務開始を「更衣室に入る時点」と定めているのであれば、PCやスマートフォンより、更衣室に打刻機を設置する方がいいかもしれない。外出先でスマートフォンを使って打刻する場合には、あわせてスマートフォンの位置情報も取得することで虚偽の打刻を防ぐこともできる。
効率的、かつ正確に打刻できるようになっても、取得した打刻データを集計するのに多くの人手を費やしていてはシステム化の効果が限定されてしまう。そのため、大半の勤怠管理システムでは打刻データを自動的に集計してさまざまな切り口から可視化できる機能を備えている。こうした機能を活用することで、人事・労務部門における勤怠管理業務の負荷を大幅に低減できる。
企業によっては、所定労働時間や日をまたいだ際の残業時間の処理などが異なる場合がある。こうした独自要件に製品が対応できない場合、別途手作業で補完する必要があるため、せっかくシステムを導入したにもかかわらず業務負荷がほとんど減らないということもあり得る。こうした事態に陥らないためにも、自社独自の勤怠管理ポリシーをあらかじめ洗い出し、製品仕様とのフィット&ギャップを丹念に行っておく必要がある。
こうして打刻と集計をシステム化して労働時間を適正に管理できるようになったら、次の段階として収集したデータを基に残業時間を管理したり、従業員の働き方を改善するフェーズへと移れる。
多くの勤怠管理システムが、残業時間が法令で定める上限に近づいた際にアラートを通知する機能を備えているため、法令違反のリスクを回避するとともに、従業員の健康管理に配慮した健康経営の実現にも貢献できる。
IT製品を導入する際には、どうしてもコストの観点が欠かせない。代表的なクラウド勤怠管理製品はどれも月額料金300〜400円のレンジで価格が設定されており、利用コストに大きな差はないようだ。
中には「基本機能のみなら月額100円」といったサービスもある。その場合は自社にとって必須の機能が基本機能とオプションのどちらになっているか確認してほしい。
クラウド勤怠管理製品の中には、細かなパラメータ設定によりさまざまな業務プロセスに柔軟に対応できるものもある。しかし、ユーザー側がこうした機能を生かしきれず、導入効果を十分に発揮できていないケースもある。自社で製品の導入・運用に十分な人的リソースを投入できない場合は、製品ベンダーやサードパーティーベンダーに導入・運用作業の支援を依頼することも検討してみるべきだろう。
勤怠管理システムはそれ単体で利用することも可能だが、給与計算システムに代表される他の人事・労務管理システムと連携することでより広い範囲の業務をシステム化できる。そのため、外部システムとの連携インタフェースの有無も重要な選定ポイントの一つになる。
API連携をうたう製品でも、ユーザーが独自に追加した項目のデータをやりとりできない場合があるようだ。自社の既存ツールとの親和性を十分に考慮した上で導入したい。
クラウド勤怠管理システムは社員情報や組織情報をクラウドで管理するが、「クラウドに社員情報を預けるのは心配」という理由から導入のメリットを逃してしまうのはもったいない。
製品の選定に当たってはセキュリティ対策がしっかり行われているかどうかをリサーチし、安心してデータを預けられる製品を選びたい。
製品名 | ベンダー名 | 特徴 |
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COMPANY | Works Human Intelligence | 大企業向けの勤怠管理システム。フレックスや裁量労働制などさまざまな勤務形態に対応 |
TimePro-VG | アマノ | 大企業向けの勤怠管理システム。クラウドとオンプレミス双方に対応 |
KING OF TIME | ヒューマンテクノロジーズ | 中堅・中小企業向けの勤怠管理システム。利用人数に応じたシンプルな料金プランが特徴 |
ジョブカン勤怠管理 | DONUTS | さまざまな業界で求められる機能を備える勤怠管理システム。シンプルな操作性に強み |
以下はキーマンズネットで掲載している、勤怠管理システムの比較に関する記事だ。サービスの導入検討にぜひ役立ててほしい。
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