すご腕アナリスト市場予測
Windows Server 2003のEOSが契機に、中堅・中小企業クラウド活用(3/4 ページ)
押さえておきたいクラウドの最新事情
ただし、「サーバ仮想化による社内設置とクラウドの適材適所の選択」が「SaaS」よりも常に最善の選択となるわけではないという点をここで注記しておきたい。
例えば、「わが社は社外で活動する営業社員が多く、スマートフォンなどでスケジュール調整やメール連絡を頻繁に行っている」といった場合であれば、スケジューラやメールのシステムを自社内に持つ必要性は低い。
こうした場合にはSaaSの適用が最善の選択となるだろう。このように「どのクラウドを選ぶべきか」についても適材適所の柔軟な思考が重要となってくる。既に多くの読者がご存じのように、「クラウド」には大きく分けて以下の3通りがある。
SaaS
パッケージとして提供されているのと同様に、一定の機能を持つアプリケーションをインターネット越しにサービスとして利用できるものを指す。
PaaS
システム開発、運用の環境(OSやミドルウェア)がサービスとして提供され、その上で独自のアプリケーションを作成、利用できるものを指す。
IaaS
ハードウェア、ネットワーク、OSがサービスとして提供され、その上で独自のミドルウェアやアプリケーションを配備、稼働できるものを指す。
先に述べた「サーバ仮想化を用いてライフサイクルの場面ごとに社内設置とクラウドを適材適所で使い分ける」を実現する手段に相当するのは「IaaS」である。
IaaSの中には仮想化されたサーバ環境を社内運用とクラウドの間で行き来できるツールなどを標準サービスの中で提供しているものもある。Amazon Web Servicesの「VM Import/Export」などはそうした例の1つだ。
一方、「PaaS」はOSより上位のシステム階層である開発フレームワークやミドルウェアをサービスとして提供するものだ。PaaSでは個々のクラウド事業者が固有の開発フレームワークを提供するケースが多いため、IaaSと比べると特定のクラウド事業者に依存してしまう可能性は高くなる。
しかし、昨今ではIBMの「Bluemix」やPivotal Softwareの「Pivotal Web Services」のようにオープンソースの開発フレームワークである「Cloud Foundry」をベースとしたPaaSも登場してきており、相互運用性に関する状況が今後変わってくる可能性もある。
「サーバ仮想化+IaaS」が現実的な解に
いずれにせよ、中堅・中小企業が「ライフサイクルの場面ごとに社内設置とクラウドを適材適所で使い分ける」という取り組みを進める手段としてサーバ環境を仮想化し、クラウド環境としてIaaSを用いるケースが当面は現実的といえるだろう。
そうなると、「PaaSよりIaaS」という選択基準が生じてしまいやすいが、ここにも注意が必要だ。なぜなら、「このクラウド事業者はPaaS、このクラウド事業者はIaaS」といった境界線があいまいになりつつあるからだ。
例えば、IaaSを主体とする「ニフティクラウド」は「RDB(リレーショナルデータベース)」「メッセージキュー」「メール配信」といったミドルウェアに相当する機能も提供しており、そのサービス領域をPaaSに拡大しつつある。
逆に、当初はPaaSとして登場した「Microsoft Azure」は仮想化されたサーバ環境を稼働させることのできる「Azure Virtual Machines」も提供しており、これは実質的にIaaSに相当するサービスである。
このように、PaaSとIaaSを区別することにこだわりすぎると、自社に適したサービスやクラウド事業者を選択する際の視野を狭めてしまう危険性がある。「PaaS業者、IaaS業者」というレッテルを張らず、それぞれのクラウド事業者が提供するサービスを一つ一つ丁寧に確認する手間を惜しまないことが大切だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
すご腕アナリスト市場予測
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
2
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
3
なぜ、突如「PHPパニック」は起こったのか? 緊急メンテ続出の理由とその後
-
4
PHP脆弱性、自社のリスクは? 今すぐできる点検の手順とPHP以外の注意点 無料点検も登場
-
5
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
6
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
7
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
8
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
9
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
10
磐田市、財務会計業務への生成AI導入実証 年間590時間、約177万円の削減効果を確認
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー