IT導入完全ガイド
機械学習ツールやサービスの種類と使いどころを整理する(2/7 ページ)
深層学習の登場が与えたインパクト
機械学習の理論自体はかなり以前から存在していたものの、実用化にはなかなか至らなかった。その主な理由は「学習データの不足」と「コンピュータ処理能力の限界」にあった。機械学習はその仕組み上、多くの学習データを与えれば与えるほど精度が向上する(学習データの内容の吟味も同様に重要だが)。しかしこれまでは、十分な量の学習データを用意することも、それを一定の時間内に学習させることも容易なことではなかった。
それが、近年におけるクラウドやビッグデータの普及により、十分な量の学習データを比較的容易に入手できるようになった。またコンピュータ性能の急速な向上により、それらを短時間のうちに学習させることも十分可能になった。機械学習が一気に実用レベルに達した裏には、こうした背景がある。
一方で、深層学習(ディープラーニング)の登場もAIブームに一気に拍車を掛けることになった。深層学習は「機械学習の中の1つのバリエーション」に位置付けられる。機械学習と一言で言っても、データの中からその問題領域に特有のルールや特徴を見いだして学習するやり方には、実はさまざまな方式が存在する。その中の1つに、人間の脳の神経構造を模した「ニューラルネットワーク」という技術がある。深層学習は、このニューラルネットワーク型の機械学習の「進化形」と捉えることができる。
具体的には、脳神経細胞のネットワークの“層”(正確にはこれを模したもの)を、通常の機械学習よりもより深く、何層にも重ねたもの(具体的には3層以上)を深層学習と呼ぶ。層がより深く重なっている分、通常のニューラルネットワーク型機械学習より複雑なルールや特徴をデータから引き出すことができる。第三次AIブームは、この深層学習の登場が起爆剤となって、一気に盛り上がりを見せることになったのだ。
「コグニティブコンピューティング」「コグニティブサービス」とは?
近年、AIの文脈で頻繁に耳にする「コグニティブコンピューティング(Cognitive Computing)」や「コグニティブサービス(Cognitive Service)」といったキーワードは、画像認識や音声認識など、人間の認識や認知の機能をコンピュータで行おうというものだ。AI技術の一部として取り扱われることが多いが、中には「コグニティブコンピューティングはAIではない」と主張するベンダーもあるなど、その用語の扱われ方はベンダーによって若干異なる。
ただし、先ほど紹介した機械学習や深層学習の「データからルールや特徴を取り出す」という機能は、「人間のように情報を認識・認知させる」というコグニティブコンピューティングの目的と極めて親和性が高い。事実、深層学習は画像認識の世界に革命をもたらし、現在多くの分野でその応用が進んでいる。例えば、自社で管理する膨大な数の画像データや音声データを機械学習に学習させ、その結果構築した学習モデルを画像認識や音声認識のクラウドサービスとして提供するベンダーも出てきている。
ただし、コグニティブコンピューティングが取り扱う領域の中には、機械学習や深層学習より、昔ながらのエキスパートシステムの仕組みの方が、かえって相性がいいものも存在する。例えば後述する「IBM Watson」などは、知識ベースと推論のエンジンを組み合わせた「エキスパートシステム」技術を中核に据えながら、精度やパフォーマンスを洗練させることでコグニティブコンピューティングプラットフォームを実現している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
2
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
3
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
4
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
5
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
6
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
7
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
8
「AIに聞いても答えない」を解消 freeeが進めるデータ連携の最新戦略
-
9
自治体、企業で進む「Google回帰」 事例で分かる「Gemini Notebook」の活用アイデア
-
10
7歳からのLinux愛好家が、なぜ今「Windows」に? OSの見方が変わった理由:896th Lap
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー