すご腕アナリスト市場予測
チャットボットが企業に与えるインパクト(2/5 ページ)
チャットサービスのビジネス活用
ここで整理も兼ねて、チャットサービスのビジネス活用の変遷を図1に示した。LINEが登場した2010年代前半は、製品情報の提供やクーポンの発行など主に広告メディアとして使用され、企業側が一方的に情報を配信する「片方向」の活用にとどまっていた。
変化が訪れたのは、2015年ごろである。爆発的に広がったチャットを顧客接点でさらに利用したいという機運が高まり、チャットボットの活用が検討され始めた。チャットボットにより、企業と顧客が1対1で会話しながら、商品提案から販売まで完結する「双方向」の活用へと変化したのである。その事例の1つが、冒頭のSMBC日興証券の「AIチャットボットサービス」である。
最近では、企業内のコミュニケーションツールとしても、チャットが注目を集め始めている。米サンフランシスコに本社を置くSlack Technologiesが提供しているエンタープライズチャットサービス「Slack」がその代表である。Slackは2014年2月に一般向けのサービスを開始し、わずか3年で900万ユーザーを抱えるまで成長した(2017年9月時点、週間アクティブユーザー数)。
他にも、メール市場で大きなシェアを握るマイクロソフトは2017年3月に対抗サービスとして「Teams」をスタートし市場に参入、ソフトウェア開発管理システムで有名なアトラシアンは2017年9月に同社のチャットサービス「HipChat」の後継として「Stride」をリリースするなど、企業向けチャットサービスは、ブームになりつつある。
業務システムとの統合を前提にしたビジネスプラットフォームへと進化
2010年ごろにも、Salesforceの「Chatter」が登場、ソーシャルメディアの使い勝手を企業向けにカスタマイズした使い勝手の良い「情報共有ツール」として一躍脚光を集めた時期があった。
しかし、現在のブームは、チャットサービスをハブとし、業務システムなどの外部サービスとの統合を前提とした「ビジネスプラットフォーム」となっている点が異なる。このため、自らのAPIを公開、サードパーティーによる自社のプラットフォーム上でのアプリの開発を可能としている。
例えば、「Googleカレンダーと連携させて、スケジュールが近づくとチャットサービス内に通知が届く」「経費精算システムと連動させて、チャットサービス内で清算に必要な全てのやりとりが終わる」といったことが可能になる。
しかも、連携させた外部アプリケーションの操作はチャット上で直接行えるため、その都度画面を切り替えることなくシームレスに作業できる。この外部システムとのやりとりの中で、昨今、業務システムを対象に活用が目立つのが実はチャットボットだ。
このB2B向けともいえるチャットボットの特徴の1つが、まるで自分の専任の秘書を持つかのように、業務システムの煩わしい入力作業を代行する「アバター化」だ(図2)。
従来の業務システムでは、ユーザーが画面の仕様を理解し、必要事項を考えデータを整理して入力する必要があり、必ずしも使いやすいシステムばかりではなかった。しかし、チャットボットが業務システムとのやりとりを日常会話によって仲介すれば、ユーザーの意図や入力に合わせて操作をエスコートできる。
ユーザーは、画面の仕様に惑わされたり、入力データを整理したりといった煩雑な作業から開放されるのである。チャットボットが業務システムの新たな「ユーザーインタフェース」として振る舞い、利便性を高める点に気付き始めた企業が先手を打ち始めたのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
すご腕アナリスト市場予測
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
2
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
3
なぜ、突如「PHPパニック」は起こったのか? 緊急メンテ続出の理由とその後
-
4
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
5
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
6
PHP脆弱性、自社のリスクは? 今すぐできる点検の手順とPHP以外の注意点 無料点検も登場
-
7
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
8
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
9
磐田市、財務会計業務への生成AI導入実証 年間590時間、約177万円の削減効果を確認
-
10
Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー