IT導入完全ガイド
行動追跡、可視化、画像認識技術とマーケティングの関係(3/4 ページ)
ディープラーニング技術を用いた画像認識モデル構築
このような行動分析や属性分析の精度を上げるために利用されているのがディープラーニングだ。その技術を応用して、小売業界のニーズにマッチするマーケティング分析サービスが登場している。
ディープラーニングを主事業とするアベジャが提供を始めた「ABEJA Platform for Retail」がそれで、店舗内に設置した複数のカメラの映像から、来店人数を正確にカウントし、来店客の年齢と性別を推定して可視化するサービスとなっている。
クラウドサービスとしての提供なので、インターネットに接続する環境が既にあれば、ネットワークカメラを導入するだけで簡単にマーケティング分析の材料が入手できる。カメラ1台当たり月額1万3000円(税別)からと、比較的低価格で画像認識技術がすぐに導入できるのが大きな特徴だ。
来店状況とPOSデータとの突き合わせにより、来店客当たりの買い上げ率(コンバージョン)の可視化や、混雑状況に応じた店舗スタッフのシフト最適化、キャンペーンなどの効果測定に役立てられるばかりでなく、画像認識による来店客属性の現状や変化の傾向が統計的に、客観的数値として把握可能になる。
ただしアベジャは小売業界に特化したサービス業者ではない。同社は「データを収集、管理し、ディープラーニングによって最適なモデルを作り、実行、運用し、その結果を学習にフィードバックする一連の仕組み」を一貫して提供しようとしている。
現在、図7に見るようなAIプラットフォームの「ABEJA Platform」を利用し、ユーザーのニーズに沿ってオーダーメイドでソリューションを開発、提供するサービスと、パートナー企業にABEJA Platformを開放(オープン化)し、新たなサービス開発のために利用してもらうサービス(現在はβ版)の大きく2つの軸で事業を展開している。それに加え、前者のサービスを小売店向けに切り出した形でSaaSとして提供しているのが、ABEJA Platform for Retailとなる。
画像認識をビジネスに応用する場合には、絶え間なく学習を進め精度を上げる必要があり、また画像の分析目的が変化すれば、対応する分析エンジン(モデル)を新しく作って追加する必要も出てくる。AI応用システムには必須なこうした運用面をサポートする専業ベンダーは今のところ数少ない。
アベジャでは学習を効率化するためのアノテーションツール(人間が機械に正解を教えるためのツール)や、学習用のデータセット作成のオフショア化などにより、コストを抑制して大量の学習が可能な環境を整えている。モデルの精度向上や新しいモデルの作成などが、同一のプラットフォーム上で比較的低コストに可能になると期待できそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
2
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
3
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
4
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
5
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
6
なぜ、突如「PHPパニック」は起こったのか? 緊急メンテ続出の理由とその後
-
7
「言い訳文化」から脱却のNECが足立区に伝授した生成AI活用術とは データ活用“逆算”の鉄則
-
8
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
9
Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
-
10
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー