「作った本人しか使えない」を避けるには 文化祭POSが36校へ広がるまで
現場で感じた不便を起点に作ったシステムを、他の利用者にも広げるには何が必要なのか。文化祭向けPOS「FesRegi」は、開発者自身の経験から生まれ、全国36校・57模擬店で使われるまでに利用範囲を広げた。
文化祭向けPOSレジ「FesRegi」は、開発者が高校時代の文化祭で経験した注文管理や売り上げ集計の不便をきっかけに開発されたサービスだ。2026年春には全国36校・57模擬店で使われた。累計の注文処理数は2026年8月27日時点で2万2314件に上る。開発者自身の課題解決から始まった仕組みが、他校でも利用されるサービスへと広がった形だ。
FesRegiが個人の開発から複数校で使われるサービスへ広がった過程には、現場発のシステムを定着させるヒントがある。利用範囲を広げる上で、どのような工夫が重ねられてきたのか。
なぜ最初から「全部入り」にしなかったのか
FesRegiの開発の出発点となったのは、既存のツールでは自身の用途に合わなかったことだ。開発者は文化祭向けのレジアプリを探したものの、有料だったり、必要とする機能が不足していたりしたため、自ら開発に着手した。
最初から幅広い用途を狙ったのではなく、文化祭の模擬店という具体的な現場を対象とした点が特徴だ。注文受付だけでなく、調理担当への注文内容の共有や売り上げ集計など、実際の模擬店運営で必要となる機能を組み込んできた。
現場発の開発では、最初から対象を広げ過ぎず、具体的な困り事を起点に対象業務を定めることが1つのポイントとなる。FesRegiの場合も、開発者自身が経験した業務上の不便がサービスの出発点となっている。
利用者の声を取り込み、作り手だけのツールにしない
FesRegiは2026年4月からバージョン0.xとして提供され、その後、実際に利用した模擬店から寄せられた意見を基に改善を重ねた。正式版となるバージョン1.0.0では、画面や操作性などを見直している。
ここから見えてくるのは、開発者自身にとって使いやすい仕組みでも、別の利用者が同じように使えるとは限らない、という視点だ。FesRegiでは、実際に他校で使われる過程で得た意見を反映し、仕様を更新してきた。
一人の課題解決から始まったシステムを他の利用者にも広げるには、公開した時点を完成とせず、実利用から得られるフィードバックを継続的に取り込むことが重要になる。FesRegiが正式版に至るまでの過程からは、利用範囲の拡大と改善を並行して進めてきたことが分かる。
登録も申し込みもなし、なぜそこまで削ったのか
機能面に加えて、利用開始までの手間を抑えていることもFesRegiの特徴だ。会員登録や事前申し込みをせず、ゲストとして店舗を作成して商品を登録できる。利用端末としては「iPhone」や「iPad」「Chromebook」などを想定し、iOSアプリだけでなくインストール不要のWeb版も提供する。専用のレジ機器を用意する必要もない。
来場者向けのモバイルオーダーでは、模擬店に掲示したQRコードをスマートフォンで読み取って注文する。iPhoneでは、アプリをインストールせずに利用できる「App Clip」にも対応する。注文後は受け取りまでの待ち状況を確認でき、商品完成時には通知を受け取れる。
システムを別の利用者へ広げる場合、必要な機能をそろえるだけでなく、利用開始までの準備をどこまで減らせるかも重要になる。FesRegiでは、専用機器や事前のアカウント作成を前提としない利用形態を採っている。
FesRegiは2026年4月の公開以降、実際に利用した模擬店から寄せられた要望をアップデートに反映してきた。2026年9月1日に正式版を公開し、同年春には全国36校の57模擬店で利用された。8月27日時点の累計注文処理数は2万2314件で、秋の文化祭シーズンに向けて110模擬店が導入を予定している。
個人の困り事から出発した仕組みでも、機能の追加と「使い始めるまで」の設計を積み重ねれば、他者に開けるサービスになり得る。FesRegiの歩みは、社内発ツールの横展開を考える際の手掛かりにもなる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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