IT調達で最大の地政学リスクは「コスト増」ではなかった 国内企業399人の回答
IT調達で企業が最も警戒する地政学リスクは、コスト増ではなかった。国内企業のビジネスリーダー399人が選んだ最大の懸念とは。Gartnerの調査を基に、クラウドやソフトウェアの選定で見直すべきポイントを整理する。
クラウドサービスや業務ソフトウェアの値上げが相次ぐ中、IT調達では価格や機能、セキュリティなどを比較し、費用対効果を見極める必要がある。一方、国際情勢の変化がITサービスの提供体制や法規制に影響する可能性も無視できなくなっている。
Gartnerが2026年3月、国内企業のビジネスリーダー399人を対象に実施した調査では、「可能な限り広い範囲のIT調達で地政学リスクの影響を検証すべき」とした回答が66.4%、「一部のIT調達で検証すべき」が25.6%だった。合計すると92.0%が、IT調達における地政学リスクの検証が必要だと考えている。
では、企業は具体的に何を警戒しているのか。調査結果からは、値上げよりも深刻に受け止められているリスクが浮かび上がった。
コスト増の2倍以上 55.3%が挙げた最大のリスク
IT調達において最も検証すべき地政学リスクを尋ねたところ、最多となったのは「事業継続」の55.3%だった。一方、「コスト増」は25.9%だった。
物価上昇や為替変動によって、クラウドの利用料やソフトウェアの保守費用が膨らむことは企業にとって大きな問題だ。それ以上に、サービスの供給が止まったり、品質が低下したりすることで、自社の業務そのものを継続できなくなる事態が懸念されている。
地政学リスクの影響を優先的に検証すべき調達対象については、「クラウド」または「ソフトウェア」と回答した割合が合計65.8%に達した。企業の基幹業務や顧客向けサービスがクラウドやSaaSを前提とするようになり、ITサービスの停止がそのまま事業停止につながりかねないためだ。
「どこのサービスか」だけでは足りない
Gartnerは、事業継続リスクを評価する際、ベンダーのデータセンターやサービス提供拠点がどこにあるのかを把握する必要があると指摘する。有事に想定される復旧時間やバックアップ体制も確認項目になる。
サービスが利用できなくなった場合に備え、代替サービスや代替ベンダーを検討しておくことも重要だ。その際は、単に代わりとなる製品を探すだけでは不十分だという。現在のサービスから取り戻せるデータの範囲や形式、データ移行を支援するサービスやツールの有無まで確認しておく必要がある。
コストについても、値上げの有無だけで判断するのではなく、物価上昇や為替変動、割引ルール、価格モデルの変更など、価格改定の要因を分けて捉えることが求められる。将来的な費用上昇を前提に予算を組み、必要以上の契約やライセンスを抱えていないかを見直すことも対策になる。
IT調達で確認すべき3つのリスク
Gartnerは、IT調達における地政学リスクを「事業継続」「コスト増」「コンプライアンス」の3つの観点から管理する必要があるとしている。
コンプライアンスについては、各国・地域のデータ保護法やAI関連規制の変化を継続的に確認し、自社とベンダーの双方が対応できているかを評価する。重要なデータやAI機能を扱うサービスでは、法令やガバナンスへの対応をベンダー任せにできない。
こうしたリスクへの対応方法として、Gartnerは「受容」「低減」「回避」「移転」の4原則を挙げる。一般的には、影響を許容できるリスクは受け入れ、対策によって影響を抑えたり、調達先の見直しによって回避したり、契約などを通じて第三者へ移転したりする考え方を指す。
Gartnerは、2028年までに、締結されるクラウド契約の70%で、地政学リスクがコストや品質に及ぼす影響が事前に検証されると予測する。IT調達で問われるのは、導入時の価格だけではない。予期しない変化が起きても、そのサービスを使い続けられるか。使えなくなった場合に、事業を止めずに切り替えられるか。こうした視点も、今後のクラウドやソフトウェア選定に欠かせない評価軸となりそうだ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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