AI予算はどこへ向かう? 企業が選んだ投資先と判断材料
AI投資の行き先は、ライセンスやインフラ、API、開発人材などさまざまだ。企業はどの業務領域に予算を投じ、コスト削減や効果の実証といった要素をどう投資判断に反映しているのか。AI関連予算に関与する435人への調査から探る。
AIへの予算を増やすといっても、その使い道は一つではない。情報システムやソフトウェア開発、商品企画など、AIを活用できる業務領域は幅広い。費目も、AIサービスのライセンス料や、インフラやAPIの利用料、自社開発の人件費、外部委託費、教育費などに分かれる。
同時に問われるのが、何を根拠に投資を増やすかだ。コスト削減を期待するのか、人手不足を補いたいのか、既に効果を確認できた領域を広げるのか。競合他社の動きも判断材料になり得る。
企業は実際にどの領域へAI関連予算を振り向け、何を理由に投資を強化しているのか。ファインディが2026年9月16日に発表した「AI投資に関する実態調査」を基に見ていく。
AI投資はどこへ? 最多は「情報システム」
調査対象者のうち、全社のAI投資の規模や配分において最終決裁に関与する「経営決裁層」に、AI関連投資額の前年度比を尋ねた。その結果、勤務先の投資額が前年度より増えたとの回答は81.3%だった。内訳は「1.5倍以上に大幅に増加」が28.0%、「増加」が53.3%。一方、「減少」と「大幅に減少」の合計は2.8%にとどまった。
今後1年間でAI投資を強化する業務領域では、「情報システム」が69.2%で最も高かった。次いで「ソフトウェア開発・エンジニアリング」が56.1%、「商品企画・プロダクトマネジメント」が50.5%、「研究開発」が48.6%と続いた。
人事・総務では53.3%、経理・財務・法務では47.7%が「現状維持」と回答した。一方、「縮小する」と「撤退する」の合計は、調査対象となった全10領域で1割以下だった。特定の領域から撤退するよりも、情報システムや開発などの重点領域へ追加で予算を振り向ける姿勢がうかがえる。
費目別に見ると、最も金額が大きい費目として「AIサービス・SaaSツールのライセンス料」を挙げた割合が31.8%で最多だった。次いで「AI向けインフラ・計算資源」が17.8%、「AI API利用料(従量課金)」が16.8%となった。この3項目の回答割合を合計すると66.4%になる。一方、「自社開発の人件費」は12.1%、「外部委託・コンサルティング費用」と「教育・研修費用」はそれぞれ7.5%だった。
AI API利用料を金額の大きい上位3費目に挙げた回答者は47.7%に達した。ライセンス料だけでなく、利用量によって変動するAPI料金も企業の管理対象になっている。
投資を増やす理由、「効果実証」は4番目
では、企業は何を判断材料に、AI投資を強化しているのか。
今後1年間でAI投資を強化する理由を尋ねたところ、最も多かったのは「コスト削減が見込めるから」の50.5%だった。次いで「人材不足を補うため」が46.2%、「競合他社の動向への対応」が40.9%と続いた。
これに対して、「効果が実証できた領域だから」は39.8%で4番目だった。差は1.1ポイントと小さいものの、効果を実証できたことよりも、競合他社の動向への対応を理由に挙げた割合がわずかに高かった。
このことから、AI投資は、既に得られた成果だけを基に判断されているわけではないことがうかがえる。コスト削減や人手不足への期待、競合他社に後れたくないという意識も投資を後押ししているようだ。
AIの成果、売り上げよりコストと速さを重視
投資の判断材料だけでなく、AIの成果を何で測るかも企業によって異なる。
AI投資の成果として最も重視する指標では、「コスト削減」が26.2%で最多だった。「スピード」が17.8%、「売上・利益への貢献」が15.0%、「品質向上・ミスの低減」が10.3%と続いた。
コスト削減とスピード、品質向上を合計した「業務・オペレーション改善」は54.3%だった。一方、売上・利益、顧客満足、新規事業の創出を合わせた「事業アウトカム」は23.4%にとどまった。
AI関連予算は増えているものの、経営決裁層が現時点で重視しているのは、新規事業の創出よりも既存業務のコスト削減やスピード向上だ。情シスには、ライセンスやAPI料金を管理するだけでなく、どの業務領域へ予算を振り向け、何を成果として評価するのかを、経営層や利用部門とすり合わせる役割も求められそうだ。
なお、本調査は2026年8月6~10日、従業員300人以上の企業でAI関連投資の予算に関与する20~69歳の男女435人を対象に、インターネットで実施された。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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