AIを導入した企業ほど困る「データ基盤問題」 パーソルが3サービスで支援へ
生成AIやAIエージェントの導入が進む一方、データの整理不足や権限管理、コスト、老朽化した基盤が活用のボトルネックとなる。パーソルビジネスプロセスデザインは、AIを継続利用するためのデータ基盤を支援する3サービスを開始した。
生成AIやAIエージェントの導入が進む一方、社内データの整理不足や権限管理、運用コストなどがボトルネックとなり、AI活用がPoC(概念実証)にとどまるケースが多く聞かれる。AIを業務で継続的に活用するには、AIそのものだけでなく、データを安全かつ正確に利用できる基盤の整備が不可欠だ。
こうした課題に対し、パーソルグループのパーソルビジネスプロセスデザインは2026年9月に、AIおよびAIエージェントが業務データを安全に利用できる基盤の整備・運用を包括的に支援する3サービスの提供を開始した。
「AI-Readyデータ基盤構築・運用サービス」「データ基盤コスト最適化サービス」「モダナイゼーション/運用高度化サービス」の3つで、データ品質やガバナンス、コスト管理、既存基盤の刷新などを支援する。AIを導入するだけでなく、継続的に使える状態をどう整えるかに焦点を当てる。
「AI活用がPoC止まりに」 ボトルネックはデータ基盤
社内データの整理が十分でなければ、AIが参照する情報の正確性を確保することが難しい。部署ごとに情報や指標の定義が異なるほか、AIが利用できるデータの範囲やアクセス権限が明確になっていないケースもある。さらに、データの保存・分析やAI利用の拡大に伴ってコストが増加し、費用の発生源や利用者を把握できなければ、高コストな処理や未利用資産が残る可能性もある。
長年運用されてきたデータ基盤では、担当者へのノウハウの集中や技術的負債が蓄積し、障害対応や保守の負荷が増えることもある。こうした状態では、AIの利用ニーズに柔軟に対応することが難しい。
パーソルビジネスプロセスデザインは、これらの課題を「データ品質・ガバナンス」「コスト」「基盤の老朽化や運用」の観点から捉え、3つのサービスで支援する。
「AIに何を使わせるか」を整備 データ品質や権限を支援
「AI-Readyデータ基盤構築・運用サービス」では、AIが業務データを正確かつ安全に利用できる環境の整備・運用を支援する。
具体的には、データ品質や指標定義、権限管理、運用体制などを整備する。部門ごとに異なるデータや指標の解釈を統一することで、AIの回答品質やガバナンスの向上、業務効率化、生産性向上につなげる。
もちろん、ただAIを導入するだけでは、社内のデータをそのまま正しく利用できるとは限らない。どのデータをAIが利用できるのか、誰がアクセスできるのか、データの意味をどう定義するのかといった周辺環境の整備も必要だ。
同サービスでは、こうしたAI活用の前提となるデータ基盤を整え、継続的に運用できる状態を支援する。
AIを使うほど増えるコスト データ基盤を「見える化」
AIやデータ分析の利用が広がることで、データの保存や処理、AI利用にかかるコストも増える。
だが、どの部門や利用者が、どの処理にどれだけ費用をかけているのかが分からなければ、コスト削減の対象を特定することは難しい。
「データ基盤コスト最適化サービス」では、データ基盤の利用状況とコストを可視化し、高コスト処理や未利用資産、不要なデータ処理などを特定する。削減策の提案から実施、継続的な運用改善まで支援する。
DWH(データウェアハウス)やETLツール(抽出、変換、格納)、BI、生成AIに特化した「Data FinOps」(データ基盤の利用状況やコストを可視化し、継続的に最適化する取り組み)にも対応する。どのデータ、処理、部門・利用者がコストを発生させているのかを可視化する。AI活用の拡大によってコストが増えることを前提に、利用状況を把握しながら継続的に最適化することを狙う。
老朽化・属人化した基盤を刷新 AI活用に対応できる環境へ
AI活用を進める上では、既存のデータ基盤や運用体制も課題になる。
長年の運用によって属人化や技術的負債が蓄積している場合、担当者がいなければ対応できない業務が残り、障害対応や保守の負荷も増加しがちだ。新たなAI活用ニーズが生まれても、既存基盤の制約によって柔軟に対応できないケースもある。
「モダナイゼーション/運用高度化サービス」では、こうしたデータ基盤について、現状分析から基盤の再設計、運用体制の整備までを一貫して支援する。既存資産を活用しながら基盤を刷新し、属人化の解消や運用品質の向上、障害対応の効率化を図る。
Microsoft 365環境も対象 AI活用を支える情報・権限を整備
3サービスでは「Microsoft 365」環境も対象とする。
「Microsoft Copilot」と「Microsoft Copilot Studio」「Microsoft Power Platform」について、社内の情報や文書の整理・管理、アクセス権限の整備などを支援する。
生成AIやAIエージェントが業務に組み込まれるほど、社内にある情報をどのように整理し、誰がどの情報にアクセスできるようにするかという管理も重要になる。Microsoft 365上の情報資産についても、AIが安全に利用できる環境を整える考えだ。
今回の3サービスは、AIそのものを導入することよりも、AIを継続的に業務で利用するためのデータ基盤や運用環境を整えることに重点を置いている。
生成AIやAIエージェントの活用が広がれば、AIツールの選定だけでなく、データ品質、権限管理、コスト、既存基盤、運用体制など、AIの「裏側」の整備も求められる。
AI活用をPoCで終わらせず、実際の業務で継続的に利用するには、AIに何をさせるかだけでなく、AIが利用するデータをどう整え、安全に管理し、コストを抑えながら運用するかも課題になる。
パーソルビジネスプロセスデザインは今後、3サービスの連携を強化し、安全で有効なデータ利用環境の整備を進める方針だ。データ活用による生産性向上やデータ活用人材の成長機会創出、テクノロジーの社会実装につなげるとしている。
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