BYODが浸透する中、注目されるスマートフォン内線化。固定電話や従来のスマホ支給と比べた場合のメリット、迷いがちな各実現方式の違いなどを分かりやすく解説する。意外な落とし穴にも注目だ。
「BYODで携帯電話の会社支給を止められるかも」「業務効率化も達成できれば一挙両得」と取り組んでみたら、業務通話と個人通話を区別して毎月精算する手間があり、また従来のオフィス固定電話の電話番号をスマートフォンでも使いたいのに使えない、あるいは社内内線システムでは当たり前のパーク保留や転送もできないといったさまざまな難題がふりかかる。もちろんパケット定額契約込みのスマホ支給もあり得るが、コスト面でなかなか踏みきりにくい。この悩みの答えになるのが「スマホ内線化」だ。今回は最新スマホ内線化ソリューションの実際を紹介し、選び方のポイントを考えてみよう。
スマホを業務利用する利点はもはや言うまでもないだろう。MDMなどによるセキュリティに十分配慮したソリューションにより、端末管理や情報管理に関する機能が追加され、データ通信に関してはBYOD実現に必要な要素がほとんどそろってきた。
しかし見落とされがちなのが音声通話だ。業務用の通話料金を社員がどう精算するのか、また顧客の前では「会社の代表」であるべき従業員が、プライベートの電話番号へのコールを顧客にお願いしてよいものか。会社の電話番号ではない番号での着信を顧客がどう受け止めるか。これまで総務部門が苦心して作り上げてきた内線システムの利便性を捨ててよいのか。
さまざまな疑問が渦巻くはずだ。特に個人のスマホで業務通話した分の料金を会社が負担しないとなると、従業員の不満は募るばかりだ。これら問題を全部解決して、BYODを含めたスマホの合理的な業務活用の道を開くのが「スマホを内線電話としても使えるようにする」ソリューションだ。
まず、スマホが従来のオフィスの内線固定電話と同様に使えると、どんなメリットがあるのか考えてみよう。次のようなポイントが重要だ(ソリューションにより機能が異なるので全てが実現できない場合もある)。
(1)(2)は端末コストと利用料金に関する問題解決だ。(2)は「公私分計」と呼ばれる方法で、プライベートな通話料金は個人負担、業務用の通話料金は会社負担とする手法だ。BYODを実施しない場合はあまり関係ない話ではあるが、公私分計の仕組みがあれば会社貸与の端末であっても、私的通話がどれぐらい行われているのか実態を把握することで、管理強化に生かすことはできよう。
(3)(4)(5)は、スマホで社内固定電話と同等の機能が利用できるということだ。操作性や機能性ばかりでなく、通話相手が従来の社内電話との通話とほぼ同じ感覚で通話できるところが重要だ。通話先に新しい電話番号を覚えてもらったり、電話帳登録を直してもらったりする必要がない。
会社の既存設備や導入の仕方によっては、次の点も大きなメリットとして挙げられよう。
こうしたメリットがどのような仕組みで作り出せるのか、次に見てみよう。
ビジネス上の関係者には、自分の仕事用の電話番号は知っていてほしいが、プライベートの電話番号までは知られたくない場合が多いはず。「会社がBYOD利用者に手当を出す」といった安直なBYOD導入手法では、個人の電話番号が取引先や訪問先の人に知られることを覚悟しなくてはならない。
これは特に女性にとっては不安のもと。万が一のセクハラやストーキングにつながらないとも限らないからだ。もちろん男性でも何らかの勧誘や個人ターゲットの物品などの販売その他、会社用電話では普通は行われないようなグレーゾーンのビジネスの対象にされかねない。安心してBYODができるようにするためにも、会社の電話番号が利用できるスマホ内線化が望ましい。
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