実現方法(2)は、自社にPBXサーバを設置するのではなく、クラウド業者のサービスとしてスマホ内線化を実現するものだ。PBX機能をクラウドを通じて利用することができるので、完全に移行できるのなら既存PBXの撤去、通話端末の総IP化を短期間に進めることが可能になる。
とはいえ完全な既存PBX撤去には不安が残る場合は、社内に残して一部で運用を続けながら、スマホ内線化や社内のIP電話化を促進することが必要だ。そのどちらの場合にも対応可能な、最新サービスのイメージは図3のようになる。
このサービス(執筆時点未発売)では、スマホは特定のベンダーに限らず、各OS向けの専用アプリ(ダイアラーなど)を使ってPBXサービスを受けることができるという。マルチベンダーのスマホ内線システムが、初期費用と月額料金で次に述べる携帯キャリアのFMCサービスと同等か比較的低コストなサービスになりそうだ。
なお、マルチベンダー対応のサービスの場合でも、専用のアプリ(ダイヤラー/図4)により、オンプレミス構築の場合と同様に各種の内線機能を利用することができる。
PBXとして機能するサーバはその技術によりIP-PBX、SIPサーバ、他のアプライアンスと3種類ある。利用する通信プロトコルに違いがあるが、基本的には同様の機能を持っている。
従来のPBXから発展したのがIP-PBX、ネットワーク技術としてのVoIP実現のために生まれたのがSIPサーバやアプライアンスだと考えて、それぞれの注力視点が違っていると理解しておくとよいだろう。
SIPサーバはIP-PBXよりも柔軟で、ユーザー側でのアプリ連携などの工夫がしやすく運用管理が専門会社でなく自社でも担当できるという強みがある一方、プロトコルの互換性にまだ問題があり、利用機器を同一ベンダーに統一せざるを得なくなってコストがかさむケースがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。