そうはいっても仮想化ツールの導入とサーバ移行にコストと工数がかかり、バックアップをはじめとする運用手順の変更も必要になる。限られた予算と運用管理リソースの中でトラブルのない移行とその後の安定稼働ができるかどうかが中堅・中小企業の不安の根源だろう。その不安は解消できるものなのか、以下に2つのポイントで考えてみよう。
一過性でなく定常的に発生する運用管理コストの削減、管理担当者の負荷は最も気になるところだ。1000人以下の企業を対象としたサーバ仮想化導入実態調査でサーバ仮想化で目的を達成できなかった原因、あるいは新たな課題が発生した原因として挙げられた項目を見ると、大半が運用管理の能力に関するものだ(図1)。
仮想化ツールには稼働状況を可視化して管理操作を簡単にする管理用ツールが同時に提供されており、もともとは物理サーバ対象だった統合運用管理ツールにも仮想サーバを含めて管理可能な機能が追加されているのだが、それでも運用管理に不安が持たれているというわけだ。
仮想化ツールベンダーはこの課題への対応を図っており、管理の自動化や仮想環境の包括的な一元管理ばかりでなく、セキュリティやコンプライアンス、システムの健全性など広い範囲の運用管理要件をカバーする管理ツールが提供されるようになった。
例えば図2に示すように、仮想環境の問題やリスク、パフォーマンスなどをダッシュボードで表示し、図3〜5のようにドリルダウンして問題箇所を発見することができるものがある。
こうした新しい管理ツールを利用することで、以前よりも運用管理コストと手間を低減できる可能性がある。
また、仮想化したサーバが載る物理サーバは新しく購入するケースが多いはずだ。この場合、従来不統一だったハードウェア保守契約やOSバージョンが統一でき、メンテナンスの複雑さが軽減される。
さらに、ライブマイグレーション機能を使ってメンテナンス対象の物理サーバ上の仮想サーバを別の物理サーバに移動することにより、業務を止めることなく物理サーバのメンテナンスが行えることも大きなメリットになろう。業務が止められる休日に出勤してメンテナンスする必要がなくなる。
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