USBインタフェースで最大100ワットまで給電できる「USB PD」が登場した。新しい給電方式に注目する。
今回のテーマは、USBインタフェースで最大100ワットまで給電が可能な「USB PD(Power Delivery)」だ。2013年に策定終了したUSB 3.1も盛り込まれ、コントローラーチップのサンプル出荷が始まった。コンパクトなType-Cコネクタの可能性とともに、新しい給電方式として注目だ。
USB PDは、USB規格のサプリメント(追加仕様)として2012年7月に策定された大容量給電を可能にする仕様のこと。2014年8月11日に改訂版Rev.2.0が発行された。
USBは、歴史上最も成功したインタフェースといわれるが、普及の最大のカギになったのがデータ通信と給電を同一のコネクタとケーブルで行えるようにしたことだ。その利便性は従来のインタフェースを大きくしのぎ、PCの標準インタフェースとして搭載されると、さまざまな周辺機器が対応した。
しかし、従来のUSB規格で可能な給電方式は5ボルト0.5アンペア(2.5ワット:USB2.0)か5ボルト0.9アンペア(4.5ワット:USB3.0)で、Battery Charge 1.2に対応して5ボルト1.5アンペア(7.5ワット)まで拡張できるレベルだった。
PCの周辺機器として重要なプリンタやスキャナ、あるいは車載カーナビ、充電に大電力が必要な高級デジタルカメラなどは従来の給電能力では駆動できず、応用領域を拡大する障壁だった。
そこで、既存のUSB機器との互換性を保ちながら、大電力の給電もできるようにしたのがUSB PDだ。従来のUSB給電方式に加え、12ボルト3アンペア(36ワット)、20ボルト3アンペア(60ワット)、20ボルト5アンペア(100ワット)などの大電力給電が想定され、多様な給電を要する複数の機器を相互に接続し、互いにデータ転送と給電が行える。
従来、給電はホストからデバイスへの一方向だったが、USB PDではデバイスからホストへの給電も可能だ。例えば、大型ディスプレイからPCに給電しながら、PCからディスプレイにデータを転送するといった使い方も可能になる。
仕様決定から約2年が経過し、対応するコントローラーの製品化が待たれていたが、ルネサスエレクトロニクスからUSB PD準拠のコントローラーチップ「μPD720250」のサンプル出荷が始まり、やっと製品として実を結ぶ時期が目に見えてきた。写真は2014年8月に開催された展示会でのデモシステムだ。
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