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» 2014年09月17日 10時00分 公開

電源コンセントが劇的に変わる、100ワット給電も可能な「USB PD」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/3 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]
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USB3.1、Type-Cコネクタとの関係は?

 気になるのはUSBの新バージョンであるUSB 3.1や、先ごろ仕様が確定したばかりのType-Cコネクタやケーブルとの関連だろう。

 USB 3.1はPC周辺の全ての機器との接続を1つのインタフェースでまかなおうという思想が貫かれた規格だ。注目されたのは従来のバージョンを超えて10Gbpsの高速データ伝送が可能になるという点だ。USB規格を転送速度で分ければ次のようになる。

USB 1.1の転送速度

  • Low Speed(LSモード)……1.5Mbps(適用デバイスはキーボードやマウスなど)
  • Full Speed(FSモード)……12Mbps(適用デバイスはプリンタ、スキャナなど)

USB 2.0で追加された転送速度

  • High Speed(HSモード)……480Mbps(適用デバイスはHDDなど)

USB 3.0で追加された転送速度

  • SuperSpeed(SSモード)……5Gbps(適用デバイスはHDDやSSDなど)

USB 3.1で追加された転送速度

  • SuperSpeed+(SS+モード)……10Gbps(適用デバイスはSSDなど。動画データ転送を想定)

 USB 3.1は、普及するUSB3.0の2倍の転送レートであり、高精細動画の再生などには好適だ。USB PDは、USB 3.1の仕様の中に含まれる。

 例えば、AC電源から給電するディスプレイ内蔵のUSB PDハブからSSDストレージとPCに給電しながら、ストレージ内の4K30pの高解像度映像データをPCのプレイヤーで再生して表示するシステムを、わずか3本のケーブルで構成できる。

「Type-Cコネクタ」は従来のUSBコネクタとケーブルを置き換えるか

 先ごろ規格がリリースされたType-Cコネクタは、24ピンを備える小型で薄型の新しいコネクタだ。これまでの全USBバージョンとUSB PDに対応し、コネクタの天地がどちらの向きでもセットできるリバーシブルな構造が特長だ。

 これまでのコネクタと互換性はないが、形状は既存のMicro-Bコネクタとほぼ同等のサイズで、タブレットなどの薄いデバイスでも実装が容易だ。また、抜き差し回数は1万回程度まで耐えられるとされ、耐久性面でも既存コネクタより優れている。

 さらに注目したいのは、AppleのThunderboltのように一部のピンを使ってHDMI信号を載せたり、PCIe信号を載せたりできる点だ。USB以外にも利用できるという画期的な性格を生かした用途が広がることになる。

 もっとも、HDMI信号が載せられるとなると、動画用に開発されたSS+モードの必要性が微妙になる。利用価値があるか否かが今後の1つの注目ポイントかもしれない。

USB PDの製品化は?

 USB PD準拠のコントローラーチップとそれを載せたボードは、既にルネサスエレクトロニクスが開発、実証済みだ。テキサスインスツルメンツなどの海外勢が追いかける展開になっている。

 ルネサスエレクトロニクスの専門家は「USB PDはDC給電にイノベーションを起こす」として、「チップの提供にとどまらず、ソリューション提案を積極的に進めていく」と語った。

 最初はPCへの搭載から始まり、その周辺機器、家電、オーディオビジュアル、さらにはファクトリーオートメーションの分野にまでUSB PDによるソリューションが拡大する可能性がある。最初の製品化は来春以降になるのではないかということだ。

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Thunderbolt

 Appleが2011年2月にMacbook Proに搭載して以来、同社PCの標準インタフェースとなった独自規格。1ポート当たりデュアルチャネルで10Gbpsの転送速度で双方向通信が可能(デュアルチャネル全二重なので総スループットは最大40Gbps)、PCI ExpressとDisplayPortのデュアルプロトコル、最大7台までのデイジーチェーン接続可能、接続機器へのバスパワー給電(メタルケーブルの場合10ワットまで)などが主な仕様だ。

「USB PD」との関連は?

 USB 3.1およびUSB PD、さらにUSB規格のサプリメントであるUSB AVなどはThunderboltを強く意識した仕様になった。高精細映像転送に適する転送速度、HDMIプロトコルを利用可能にした点、接続機器への給電能力など、よく似たところがある。

 ただし、ThunderboltがAppleの独自規格にとどまり、過去の技術の継承を考慮していないのに対し、USBはさまざまなメーカーが形作ってきたUSB 3.0 Promoter GroupやUSB Implementers Forumが推進し、できるだけ過去の仕様との互換性を保つように規格策定が行われているところが異なる。

USBコネクタ仕様

 USB規格の変遷により、現在StandardA/B、Mini A/B、Micro A/Bの6種類のプラグが利用される。また「A」のタイプはホスト側に使われ、「B」のタイプは周辺デバイス側に使われる。種類が多く、ユーザーが混乱しがちな点が指摘される。

「USB PD」との関連は?

 USB PDはコネクタ仕様を決めるものではないが、その仕様はUSB 3.1やType-Cコネクタとほぼ同時に議論された。今後注目されるのは、Type-Cコネクタを利用して大電力給電と高速データ転送を1本のケーブルで実現するソリューションだ。

 これまでのコネクタとの互換性はないものの、コンパクトで丈夫なType-Cコネクタは、モバイルデバイスに好適な上、ホスト側、デバイス側の区別なく使え、しかも差し込む向きも選ばないという利便性を備える。対応製品は年内にも発売されるとの情報もあり、USB PD普及のきっかけになりそうだ。

USBコントローラーチップ

 USBインタフェースによる給電とデータ転送を制御するのがUSBコントローラーであり、その中核となるのがLSI(チップ)だ。ホスト用、ハブ用、デバイス用などの種類があり、USBの各仕様のカバー範囲が違う製品が市販された。

「USB PD」との関連は?

 USB PD準拠のUSBコントローラーチップのサンプル出荷がルネサス エレクトロニクスから2014年7月に始まった。サンプル価格はチップ当たりおよそ10ドル(1000円前後)とのことだが、製品化時には大幅な低コスト化が可能だという。

 同社は2000年には世界初のUSB2.0ホストコントローラー、ハブコントローラーを出荷し、2009年にはこれも世界初のUSB 3.0ホストコントローラーの出荷を行った実績もある。

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