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Excel属人化からの解放、やっぱり「プロジェクト管理」ツールIT導入完全ガイド(3/4 ページ)

» 2015年02月23日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]

進捗状況の把握に最適なレポーティング

 プロジェクト管理ツールには、プロジェクトの進捗状況や達成度などを関係者に応じた形にレポーティングできる機能が備わっている。もちろんExcelを駆使すればできないことはないが、プロジェクトメンバーに見せるレポートと経営層など影響力のあるステークホルダに見せるレポートは当然異なるため、全て作り込むのは手間がかかってくる。

 レポートすることがプロジェクトマネジャーの仕事ではない。できる限り進捗レポートが簡単に取り出せることが大切だ。

 例えば、進捗状況における計画値と実績値のズレがはっきり可視化できるバーンダウンチャートなどを用いれば、理想線や計画線、実績線が一目で分かるようになり、計画から大幅に遅れが出ているものがはっきりビジュアルで表現できる。

バーンダウンチャート 図4 バーンダウンチャート(出典:ヌーラボ)

コミュニケーション活性化機能

 プロジェクト管理ツールは一種のコミュニケーション基盤であり、プロジェクトメンバーそれぞれが抱えるタスクごとに情報のやりとりができるインフラであることが望ましい。そこでプロジェクト管理ツールには、ファイル共有機能や掲示板機能などが備わっている。

 Excelでは通常備わっていない機能であり、別途コミュニケーションのためのチャットやソーシャル機能を持つツールを用いる必要がある。また、実際に文字で伝えなくとも「いいねボタン」のようなメンバー間のコミュニケーションを深めるための機能が実装されるものもある。

コミュニケーション活性化機能 図5 コミュニケーション活性化機能

コラム:チャットはチャットツールで、プロジェクト管理ではストック情報のみを扱うべし

 プロジェクト管理ツールにはコミュニケーション機能が備わっているが、できればプロジェクトに関連したことだけを共有するような運用を心掛けたい。基本的にはストックするべき連絡事項や情報を中心にコミュニケーションできるようにしておき、たわいもない日常的なやりとりは別のツールで行うようにしよう。ある意味余計な情報がたまってしまい、あとで履歴を追いかけにくくなる。

プロジェクトマネジメントのこれから

 国際規格として標準化されるプロジェクトマネジメントだが、日本においてはIT業界で広く利用されている状況にある。しかし米国を中心とした海外では、ビジネスマンが備えるべきスキルの1つとして若手の教育が進められている。

 実際に海外の企業では、プロジェクトマネジメントの資格を持っていることで就職に役立つ場面も多く、大学生や高校生の時代からプロジェクトマネジメントに触れる機会が設けられているところもある。日本でも大学と企業が共同でシラバス(学習計画)を開発し、学びの場に生かしている例も増えつつある。これまで以上にプロジェクトマネジメントの裾野が広がる可能性はあるだろう。

 プロジェクト管理ツールについては、基本機能としての進捗管理だけでなく、赤字プロジェクトを解消するためにもコストを意識したポートフォリオ管理が今後は注目される。また、プロジェクトメンバーそのものがどんなタスクにどれだけのパワーを割いているのかといったワークマネジメントの概念も重要だ。これらの機能はプロジェクト管理ツールの中で充実するはずだ。

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