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ビジネスノートPC「Ultrabook」は今、どうなっている?IT導入完全ガイド(1/4 ページ)

ノートPCの中でも薄さと軽さ、そして妥協しないスペックを誇る「Ultrabook」。しかし、かつてのような各社がそろった新製品の発表は見られない理由とは。

» 2015年03月09日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

 ノートPCの中でも、薄さと軽さ、そして妥協しないスペックを誇る「Ultrabook」。Ultrabookこそビジネスユースに最適なPCであるとされることが多いが、ここ最近かつてのように各社一斉にそろって新製品の発表がされることがなく、勢いがなくなったような印象を受ける。

 今回は、Ultrabookに今、何が起こっているのかを明らかにしながら2015年におけるUltrabookについての最新情報を解説する。

Ultrabookとは

 Ultrabook(ウルトラブック)とは、CPUベンダーのインテルが2011年に提唱した、薄型、軽量でありながら、処理能力が高くバッテリー駆動時間も長いという高いスペックを持ったノートPCの総称だ。インテルがUltrabookの満たす「要件」をベンダーに提示し、それに沿った製品が開発され、販売される。製品にはUltrabookのステッカーが貼付されるので一目で分かる。

 実はUltrabookの要件、2013年に「第3世代」の要件が明らかになって以降、新たな要件が一般向けには公開されていない。

 かつてトラが舞い踊るUltrabookのテレビCMがかなりの頻度で放送されたことを記憶している人も少なくないだろう。軽妙な音楽と相まって、「Ultrabookってナニ?」とPCにそれほど興味のない人でも感心をそそられたかもしれない。当時、Ultrabookはインテルによってプロモーションが頻繁に行われた。

 インテルがUltrabookを提唱した当時、PCのようなデバイスをわざわざ外に持ち出して使っているような人はPC所有者の2割程度だった。その割合を上げるべくインテルは、薄くて軽いUltrabookによって「コンピューティングパワーを有するデバイスを場所にとらわれず使うことは誰にでも可能」ということをアピールしようとした。

 「社内PCと同じぐらいのスペックのPCを持ち出して社外でもフレキシブルに仕事をしよう」と訴えた。その結果、Ultrabookは広く浸透し、またそれと同時期からスマホやタブレットを外出先で使うユーザーも爆発的に増えたことで、UltrabookのようなPCを外へ持ち出して使うスタイルはごく普通となった。

 現在ではUltrabookだけでなく、タブレットや2in1デバイスなど、多くのモバイルデバイスを出先で使う人が見られるようになっている。そういった意味では、インテルは当初の目的を達したといえる。だからこそ最近ではUltrabookを強く押し出さなくなっているようだ。

Ultrabookの今後の進化は?

 それにしても、第3世代のUltrabookまでは、毎年リリースされてきたインテルのCPUに合わせる形でその要件が明らかになるので、順当に行けば2014年の「第4世代」、2015年には「第5世代」の要件が公になってもいいはずだ。しかしこれまで(2015年2月時点)明確な形での要件が公開された事実はない。

 実際のところ、新製品は市場に登場しており、Ultrabookの要件が消滅してしまった訳ではないハズだ。今回、関係各所への取材でその点を追求した結果、明らかになったのは以下の点だ。

  1. 第4世代、第5世代の要件は存在する。そもそもUltrabookの要件はインテルとベンダーとの間で共有されるものであって一般に公開される種類のものではない
  2. 第4世代以降、Ultrabookの要件はかなり複雑化した。ドキュメントが多く、かつてのように一口でまとめるのが難しい
  3. 要件が複雑化すると同時に、その中で、ある程度のトレードオフが認められることが多くなった。そのため、旧世代よりも画一的でない、個性的なUltrabook製品が登場した

 第4世代以降の要件が公開されていない理由として、上の(1)と(2)はもっともなことだろう。そして、(3)が加わったことが、2015年時点でのUltrabookの姿をよく現している。つまり、現在のUltrabookの要件が「ある程度柔軟性のあるもの」に変化したということだ。

 確かに、旧世代のUltrabookは公にされた要件に沿って忠実に製品設計が行われたためか、異なるベンダーの製品でもスペックはほぼ同一で、外観でやや個性を発揮する程度の違いしかなかった。

 しかし、2015年のUltrabookは、クラムシェルタイプの製品から「2 in 1」と呼ばれるコンバーチブルタイプやデタッチャブルタイプの製品まで幅広い種類が登場し、ユーザーは自分が使用するスタイルや用途によってUltrabookを選択できる状態になった。

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