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「Chromebook」は法人利用で生きるのか?IT導入完全ガイド(7/7 ページ)

» 2015年06月08日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]
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Chromebookの法人利用、4つの選定ポイントとは?

 Chromebookの実運用を見越した、製品やソリューション選定のポイントを紹介する。

どのような目的で使うかを検討する

 まず、Chromebookを導入するにあたって、どのような目的で使用するかを検討しておきたい。Chromebookを、メインで使うPCのリプレース機として導入するのか、あくまでサブで利用するモバイルPC代替として導入するのかで条件は異なる。

 メイン機として使うのであれば、前述したようにMicrosoft Officeをはじめとするアプリがそのまま利用できなくなることや、基幹システムへのアクセスにVDIを使わざるを得なくなることなどをよく検討したい。とにかく従来のPCとは大きく異なるデバイスであると認識してからChromebookを導入する必要がある。

 反対にサブ機であればそういった障壁は高くないが、逆にいえば一般的なノートPC(Windows、Mac)や、キーボード付きのタブレットなども競合する可能性はある。

 単一目的のキオスク端末を検討しているのであれば、機材コストの面ではChromebookがかなり優位となるが、HTMLベースの専用アプリ開発の手間とコストも検討することを忘れないでおきたいものだ。

ベンダーと製品を選定する

 現時点では、国内でChromebookを提供しているベンダーは少数である。ベンダーで製品間のスペックが大きく異なることはほとんどないし、管理コンソールとの同時導入を考えれば、Googleのパートナーベンダーで管理コンソールとハードウェアを選択することとなるので、機種選定に頭を悩ませることは多くないだろう。なお前述したように、Chromebook1台あたりの導入コストは、「ハードウェア料金+2万1000円の管理コンソール料金」となることを忘れずに。

 ポイントとなるのはその製品サポートだ。というのも、Chromebookは製品によってサポート終了の期限(EOL)が設けられているからだ。サポート期限が過ぎれば、その端末ではChrome OSの新規アップデートが適用されなくなり、同時にサポートも打ち切られることなる。Chromebook各製品のEOLについては、GoogleのWebページで明確に示されているので、導入前にはチェックしておきたい。

 また、管理コンソールの契約外で量販店などからChromebook単体を追加購入して運用することも可能であるものの、その際も管理コンソールを利用するライセンス料金が発生する。その一方で、管理コンソールを提供するベンダーからのサポートは受けられない可能性が高いことも付け加えておこう。

運用管理について検討する

 Chromebookには管理コンソールが欠かせない。その管理コンソールはWebベースで運用が容易ではある。ただし、既に運用している管理ツール、MDMなどとは“別系統”のツールとして運用していくことが必要となる。管理コンソール自体の運用は容易でも、Chromebookを導入することでもう1系統の手間が必要となるということだ。それをまかなえるキャパが担当部門にあるかどうかは導入前に検討しておく必要があるだろう。

 それから、管理コンソールと相まってセキュリティについては万全といえるChromebookではあるが、弱点といえる点もある。それは基幹システムなどにアクセスする場合など、「特定のユーザーが特定の端末から」というような認証がしづらいところだ。

 Chromebookはユーザーが端末にログインすれば、その端末はそのユーザーに適応したポリシーで利用されることとなるが、実際のところその端末が必ずしも特定の機器でなくても、安全に利用できてしまうのだ。

 逆に言えば、重要なシステムに対して、特定の機器でしかアクセスさせたくないような場合には、そのChromebookの利点がアダになってしまうこともあるかもしれない。厳格なユーザー管理+デバイス管理をポリシーとして掲げる日本の企業にとって、Chromebookが導入しにくい要因の1つになっているというから、その点もしっかり確認しておきたいところだ。

Google Appsのビジネス利用について検討する

 Chromebookの導入には、Google Appsアカウントが必要となる。Google Appsアカウントは、自社ドメインの入ったメールアドレスとひも付けられるので、それ自体は大きな問題とはならないはず。Google Appsをこれまで利用してきた企業にとっては、ChromebookによってほぼシームレスにAppsが利用できることとなり、導入は大きく歓迎されることだろう。

 ところがこれまでGoogle Appsを利用していない企業にとっては、Chromebook導入とともにGoogle Appsの利用を余儀なくされることとなり、従来使ってきた一般的なアプリやグループウェアなどとの調整が必要になってくる。Google Appsを導入しても、従来と同じスキームでビジネスを進められるかどうかは、企業運用にとっては大きな問題だ。

 そういったある意味での変革を企業レベルで受け入れられるかどうかが、Chromebook導入の大きなポイントとなるだろう。

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