高価な製品と思われているフラッシュストレージだが、そのパフォーマンスを生かせばシステムコストを大きく低減することが可能だ。サーバのコア数、ソフトウェアのライセンス、運用管理コストなどの削減により、フラッシュストレージ導入コストを上回る利益を得ている企業が多い。
米国のITサービス業者ではオールフラッシュアレイの性能により、CPUの性能に余剰が生まれ、同じワークロードを少ないコア数で処理できるようになった。コア数を削減することにより、データベースソフトのコアベースライセンスコストも削減、関連するメンテナンスコストも削減できた。
データベース処理全体の41%を占めていたのがI/O待ち時間で、これが性能のボトルネックとなっていた。フラッシュストレージ導入によってI/O待ちとそれにかかわるCPU負荷が軽減し、CPU性能に余剰が生まれた。コアを減らすことにより、コア数ベースで契約されていたデータベースソフトのライセンスを見直して大きなコスト削減につながった。
米国の某医療機器メーカーでは従来のストレージをフラッシュストレージに置き換えることによりコストを半分にできると想定。仮想デスクトップのトータルコストの劇的な改善も期待している。
一部のフラッシュアレイが備えるインライン重複排除機能によれば、同じデータを重複してストレージに書き込まないようにして容量が節約できる。特に仮想デスクトップを運用する場合にはフルクローン利用の場合で容量は10分の1から15分の1に削減(1300〜3000ユーザー)され、リンククローン利用の場合でも4.5分の1(12000ユーザー)に減った。PVSの利用でも6.9分の1にできると検証されている。(出典:EMC)
今話題のビッグデータ分析やIoTへの対応は、これからのビジネスには欠かせないものになるだろう。特にマーケティングには膨大なデータ量に及ぶ顧客行動の即時把握と分析、対応ができるか否かがカギになりそうだ。映像分析などの巨大データ量を必要とするプロセスも必要になるケースもある。
ビッグデータ分析は現在のところ、インメモリ(DRAM上)にデータを置いてリアルタイム分析を行うか、蓄積したデータを一括処理(バッチ)で処理するか、どちらかの手法を使うのが主流だ。しかしもっと対象を絞り、商品別などで情報を切り出し、それぞれをデータマート化して分析する手法を有効に利用している企業もある。データマートへのデータコピーやその分析の高速化には、フラッシュストレージが大きな役割を果たしている。
また、分析対象はデータベースにしやすい「構造化データ」以外の、ビジネス文書やWebコンテンツなどのような「非構造データ」も多くなっている。さまざまな記録場所に散在する対象データを集め、分析を行うのにも、フラッシュストレージは好適だ。
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