情報漏えい防止のためとはいえ、自社で記録媒体のデータ消去は正直大変だ。データ消去を行うセンターに潜入し、HDD破壊の現場を徹底レポート。
データ消去の手法には、上書きデータ消去をはじめ、磁気によるデータ消去やHDDそのものを物理破壊する方法などが存在し、必要に応じてそれぞれの手法を選び分ける必要がある。ただ、このデータ消去を自社で行うのは手間も時間もかかるため、外部のデータ消去サービスを利用する企業も少なくない。
しかし、具体的にどんなことをしてくれるのかを詳しく理解している人はさほど多くないはずだ。今回は、データ消去サービスを手掛けている現場に行き、具体的なデータ消去の手順などについて詳しく追跡してみたい。今回は全国8つの拠点を展開しデータ消去サービスを行うパシフィックネットの協力を得た。
今回協力を得たのは、パシフィックネットが展開している全国8つのテクニカルセンターのうち、東京大田区東海にある東京テクニカルセンターだ。まずは東京テクニカルセンターのセンター長である濱崎友裕部長および経営企画室 マーケティンググループの川島正紹部長に、このセンターの特徴やデータ消去に関するトレンドについて聞いた。
東京テクニカルセンターは1000坪の倉庫を借り受け、リサイクルやリユースを目的にデータ消去を行うさまざまなOA機器を日々受け入れている。情報漏えいのリスクを回避すべく機器回収のための専用トラックを保有している同社は、トラック運転手から事務所のスタッフも含めて90人ほどの専任スタッフがデータ消去事業に関わっている。ちなみに、全国ではおよそ200人がデータ消去事業に関わっていると濱崎センター長は説明する。
全国にあるテクニカルセンターに持ち込まれるOA機器は年間で約90万台に達しており、うち東京のセンターで30万台の機器を受け入れている。「持ち込まれる機器の約半数がPCとなっており、その割合はデスクトップが6に対してノートPCが4の割合です」とセンター長。
最近では、スマートフォンやタブレットなどに対するデータ消去のニーズが増えてきているが、再販価値があるスマートデバイスの場合は、データ消去してリユースするものが全体の7割程度で、残りの3割が粉砕処理を行っているという。「粉砕するものは、主にロックがかかって解除できないもの、そもそも電源が入らないといったものの他に、顧客都合で流通させずに粉砕するものまでさまざまです」と語るのは川島部長だ 。
最近の傾向としては、オンサイトでデータ消去を行って欲しいというニーズが増えてきているという。目の前で消去することが要件となっており、ソフトウェアによる消去のみならず、磁気消去や物理破壊も顧客先で実施するケースが少しずつ増えていると濱崎センター長。
なお、こちらでは検討している企業に対してセンター見学が行えるようになっており、どんなことを具体的に行うのかを現場で理解することが可能になっている。「データ消去の一部を外部に委託しているサービス事業者もいますが、われわれは全てを自社で行っているからこそ見ていただくことが可能です」と同社の強みについて川島部長は力説する。
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