もう1つ、同大はモバイルワーク支援プラットフォーム「CLOMO」を導入した。デバイス管理サービス「CLOMO MDM」や共有電話帳アプリ「CLOMO Secured Contacts」、セキュアブラウザアプリ「CLOMO Secured Browser」、チャットアプリ「CLOMO IDs」を提供する。
共有電話帳は、顔写真付きで連絡先が分かると医師から好評だ。また、チャット機能も利用者が着実に増えていると慈恵医大研究員、畑中洋亮氏は述べる。
「説明会では機能を紹介するだけで、特に利用を強制しなかった。しかし、初日には250人程度が使い始め、わずか2週間で利用者が400人にまで増えた」。まずはチャット機能からCLOMOに慣れてもらおうという思惑があった同氏にとって、良い滑り出しだったといえる。「他にも位置情報の送信など使える機能がいろいろあるので、今後はプライバシー面や使われ方を考慮しつつ機能の提供の有無を考えたい」
第三病院管理課では、手術室が満床で一般外来で緊急手術を必要とする時などに、PHSの一斉同報機能を使って医師に通知していた。しかし、配信は複数回に分けて行わなければならず、発信手順も複雑だった。それがMDMの一斉通知機能に変えたところ、簡単な操作でプッシュ通知できるようになった。
「医療現場には30以上の職種があり、いっぺんに情報共有したり、送りたい複数名にのみ配信したりするのが、これまでは煩雑だった。それが簡単にできるようになったことは大きい。現在は緊急通知だけに使っているが、例えば盗難事件が発生した時に該当する病棟の関係者に素早くプッシュ通知するなど、防犯上の活用も考えられる。柔軟性と拡張性に優れたソリューションだ」(東京慈恵会医科大学付属第三病院、事務部管理課の安部一之氏)
また、東京慈恵会医科大学付属病院、事務部管理課の村上聡氏も電話帳の一元管理に大きなメリットを感じていると話す。
「これまでPHSでは、Excelを加工してPC、マスターPHSの順番に取り込んでから、事務局担当者に管理課まで足を運んでもらい、5000人以上もの職員のPHSへ赤外線通信で1台ずつコピーしていた。それがクラウド経由で一気に反映できるようになった」
(後編に続く)
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