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10万円台で買える「エントリーサーバ」決定戦IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2016年02月23日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

 エントリーサーバを導入する、つまりそれはサーバを自社で運用するということにほかならない。導入した後も、管理者を置いてサーバの適切な運用が必要となる。わざわざエントリーサーバを導入せずとも、現在とてもたくさんのサービスがひしめき合っている「クラウドサービス」や「レンタルサーバサービス」を活用した方がいいのではと思わないでもない。しかし、エントリーサーバの自社運用には大きなメリットがあった。

データが手元にある安心感

 エントリーサーバには、まずファイルサーバとしての使い方がある。各従業員のPCで作成した文書をはじめとする各種データをファイルサーバとして運用しているエントリーサーバに保存しておく。社内や部署内で共有する他、クライアントPCに万が一の不具合があった場合のバックアップとしても利用できる。

 もちろん同様の使い方は、クラウドやレンタルサーバでも可能だが、クラウドなどに置いておくことは、そういったデータが社内、部署内にあるという「安心感」が失われることになる。また、何らかの障害(ネット回線またはサービス自体)が発生したとき、データを手にすることができなくなってしまう。一方でエントリーサーバが社内LANに接続されていれば、外部へのネット接続が不可になった有事の場合でも、普通にデータを取り出せて安心、というわけだ。

 また、CADデータや高精細画像データのような、サイズの大きいデータを扱う事業を展開している企業の場合、ネット回線を通じてクラウドやレンタルサーバとデータをやりとりしていると、その都度の転送速度が気になる。対して社内にあるエントリーサーバとのやりとりなら高速、安定して実行できる。もちろん、企業ポリシーによってデータを外部に保存できない企業にとっても、社内のファイルサーバとして活躍するエントリーサーバは重宝するはずだ。

クラウドはコストが微妙

 特にクラウドサービスを使う場合、企業にとってはそのコスト、料金体系が問題になる。サービスによっては料金を月単位で支払う必要がある。そういう支払い形態を嫌がる経理担当も少なくない。

 また年単位の支払いをする場合、社内で利用ユーザーが増減することによって利用額が変動することもあり、年間の予算として計上することが難しくなるケースもある。また一度契約することで、利用している、いないにかかわらず、利用料金を支払っていくということもある。どの従業員が使っていないからその分だけ契約を解除する、というような運用は非常に手間がかかるというものだ。

 半面、エントリーサーバであれば、基本的にハードウェアを購入する初期導入コストさえ予算として計上し承認されれば、月/年額支払いのようなコスト計上を気にする必要はない。もちろん、減価償却される資産でもあるし、企業によっては「生産性向上設備投資促進税制」として即時償却が可能であるかもしれない。

コラム:経費計上がムリでも臨時税制で即時償却できる

 10万円未満サーバを購入して経費計上する有用性は、結果、サーバのスペックにより活用が一部の用途に絞られてしまうため、メリットを感じられる企業は多くないと感じていたものの、取材を重ねる中で耳寄りな情報を耳にした。「生産性向上設備投資促進税制」である。これは、いわゆる「アベノミクス」の一環で2014年1月20日に施行された「産業競争力強化法」を受け、経済産業省が支援措置として開始した特別税制である。

 「生産性向上設備投資促進税制」は、「質の高い設備投資について、即時償却または最大5%の税額控除が適用できる税制措置」だ。詳細は割愛するが、この税制措置に該当する「設備投資」の中に「先端設備」という項目があり、それにエントリーサーバ製品を含む、各種サーバ製品が該当する。

 資本金1億円以下の中小企業であれば、120万円以上(単品30万円かつ合計120万円を含む)の器具備品、または単品160万円以上の機械装置をこの税制措置の対象とすることができる。ポイントは、該当サーバ製品が対象であることを「ベンダーが証明」する必要があること。

 ちなみに、HPEで提供されているサーバ製品はほぼ全て対象製品に合致し、HPEは製品購入者にその証明書を発行するという。新規にエントリーサーバ製品や各種サーバ製品の導入を検討しているなら、見逃す手はないだろう。購入時には申請を忘れないようにしたい。

 注意したいのはこの税制措置が2016年3月末日で終了することだ。終了後は特別償却50%または税額控除4%となる。

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