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» 2016年03月16日 10時00分 公開

IoTデバイスとスマホ連携をプログラムレスにする「Linking」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/4 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]

IoTの「日常化」ってどういうこと?

 BLE自体が、もともとアプリとデバイス開発のエコシステム作りを視野に入れ、マルチベンダーデバイスの相互運用性を念頭に作られた規格なのだが、現在までのところBluetooth SIGが提供するプロファイルは機器の種類ごとに標準のプロファイルが策定されている。

 スマートフォンのOSが標準で備えるBLEプロファイルも、例えばAndroidの場合ならBluetooth Health Device Profileに対応済みなので腕時計型やメガネ型のウェアラブルデバイスの機能(生体情報計測機能などを含む)は利用できるものの、もっとシンプルなBLEデバイスには標準対応しておらず、例えば、次のような機能についてはデバイス個別に連携を作りこむ必要がある。iOSでもこの事情は同様だ。

Linking

 Linkingは、これらの機能だけに絞って連携機能を提供するものだ。これにより、現時点では例えば図3のようなユースケースが考えられている。

Linking 図3 Linkingを利用したIoTの日常活用の例(資料提供:NTTドコモ)

 どれもスマートフォンをユーザーが携行していることが前提だが、(1)(2)の場合は同じデバイスが別のサービスにも使えることに注目したい。

 (1)は、「iコンシェル」というNTTドコモのコンシェルジュサービスと、LEDやバイブレーション機能などを備えるデバイスを連携させる例だ。スマートフォンを持って玄関口に近づくと、その地域の天気予報が雨であれば、傘や傘立てに取り付けたデバイスのLEDが点灯し、注意喚起を行う。

 (2)は、スマートフォンとLEDデバイスとの距離がある程度以上離れた場合、あるいは近づいた場合に、デバイスのLED点灯やスマートフォンの鳴動などで教えるサービス例だ。離れた場合の通知は、鍵などの盗難、置き忘れの防止に役立つ。近づいた場合の通知は、例えば迎えの車が到着したことを知らせる(図4)。

Linking 図4 スマートフォンとIoTデバイスとの概算距離に基づく通知の例(資料提供:NTTドコモ)

 図3の(3)は、リピート注文したい物品をボタン1つで自動発注するサービスの例だ。Amazonの商品別「Dash Button」とよく似ているが、そちらはWi-Fi接続。BLEとスマートフォンを利用しても同じようなサービスができるというわけだ。

 これら以外にも、上掲の機能を利用した各種デバイスとスマートフォンアプリとの連携が考えられている。例えば先般、スペインのバルセロナの展示会でスーツケースの取っ手に対応デバイスを埋め込み、空港の荷物受け取り所のターンテーブル上のスーツケースが近づいたらスマートフォンに通知するデモを行ったところ、好評だったという。Project Linkingでは、ハッカソンなども開催し、さまざまなアイデアや発想を模索しているところだ。

 実際の対応デバイスとして製品化や試作がされているものの例を図5に示す。

Linking 図5 「Linking」対応デバイスの例。(上左)アプリ連携で点灯するLEDデバイス(商標「Tomoru」、対応製品の第一弾)、(上右)ボタンを押すとビーコン信号を発するボタン型ビーコン、(下左)アプリ連携でバイブレーションを起こすリストバンド、(下右)各種センサーを搭載した開発用のBLE対応ボード(資料提供:NTTドコモ)

 ちなみに対応デバイスの価格は1000円以下を目標とする。上記製品の多くはクリアしたようだが、本当に日常生活用品の一部となるためには、さらなる低価格化を望みたいところだ。

 なお、BLEはブロードキャスト発信(ビーコン)と、特定デバイス間のペアリングによる通信が可能であり、Linkingも両方の通信方法が可能だ。ただしアイドル時間が長いフィールド設置センサーデバイスなどとは違い、「ボタン電池で10年稼働」というほどの長期稼働は無理で、特にペアリングでの利用では相応に電力が必要だ。とはいえ、一般的なボタン電池CR 2032利用で半年の稼働は保証できるようにしたいとのことである。

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