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強い組織を作る新コミュニケーション基盤「SMAC」すご腕アナリスト市場予測(4/4 ページ)

» 2016年06月08日 10時00分 公開
[鵜澤 慎一郎デロイト トーマツ コンサルティング]
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コミュニケーションツールで時間を生む

 ソーシャルテクノロジーがフェイストゥフェイスコミュニケーションに近い効用を発揮できることを述べたが、実はソーシャル活用に手慣れたIT企業ほど、リアルな対面コミュニケーションを重視している事実がある。

 そうした企業では、もちろん日常の業務の中にチャットやWeb会議が組み込まれ、バーチャルツールでのコミュニケーションが行われているのだが、それは一問一答のような簡単な会話や業務進捗(しんちょく)、定例的な作業の打ち合わせなどのルーチンコミュニケーションが大半を占める。

 一方、新しいアイデア出しや意思決定、意思統一といった、チームワークが必要な重要課題には、必ず人が一堂に会する会議を開いている。関係者がその場に集まることによって、以心伝心するような、一体感、空気感を大切にしているのだ。そのような場でこそ、クリエイティブ、イノベーティブな議論ができ、アイデアも生まれやすくなる。日々のルーチンコミュニケーションをSMACテクノロジーによりデジタル化して時間を短縮し、フェイストゥフェイスの時間を創出している。

 相互理解が深まるほど、信頼感も増し、ポジティブな対話や議論がしやすくなるのは誰しも経験済みのことだろう。デジタルコミュニケーションもフェイストゥフェイスコミュニケーションはどちらも大事だが、ビジネス生産性により大きく寄与するのはむしろリアルなコミュニケーションである場合が多い。

 その機会を増やすためにこそ、デジタルコミュニケーションを利用して無駄な時間を削減していく意義がある。SMACがどれほど企業に浸透しても、フェイストゥフェイスのコミュニケーションの価値がなくなることはない。

 さらに言えばメールはオフィシャルなコミュニケーションの記録や一斉同報型の伝達には適していて、今後も重要な手段となり続けることは確実だ。エビデンスとしては記録が残るメールを用いて、意思決定の前までの簡単なディスカッション、非公式な調整やメールのリマインドにはビジネスチャットやSNSを用いるなど、相互で補完し合う使い方が望ましいだろう。

 以上、今回はSMACをキーワードに企業のコミュニケーション基盤の在り方を考えてみた。SMAC化はどんな規模の会社でも今後避けて通れない 。それを利用したコミュニケーションの広がりを促進し、その半面での希薄化をリアルなコミュニケーションでカバーしていくことが、今後の組織強化、生産性、競争力向上に結び付く。メールの限界が見え、SMACの発達が著しい今、コミュニケーション基盤改革の次の一歩を踏み出すべきときが来ている。

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