では、「社内SNS」や「ビジネスチャットツール」を利用しない理由は何だろうか。上記で「利用の予定はない」とした回答者にその理由を聞いてみたところ、いずれも全体では「メールで事が足りている(ともに50%以上)」「グループウェアで事が足りている(ともに40%以上)」が1、2位を占めた(図3)。
この2項目以外では「情報が流出しないか不安」「社員のリテラシーが低い(使いこなせないなど)」「社員全員が利用しない」「費用対効果が不明確」で20%から30%程度の回答者が選んでいる。
「社内SNS」と「ビジネスチャットツール」の違いは、「ビジネスチャットツール」よりも「社内SNS」の方が、「情報が流出しないか不安」で約10ポイント、「社員のリテラシーが低い(使いこなせないなど)」で約8ポイント高くなっている。「社内SNS」の方が「ビジネスチャットツール」に比べ、ファイルや社内ノウハウの共有、蓄積に利用する傾向が高いことから、情報漏えいの危機感を抱く割合も高くなっているようだ。
また、「利用しない理由」をフリーコメントで尋ねたところ、ある1つの興味深い特徴があることに気付く。「ビジネスチャットツールを利用しない理由」には、「社員が業務に集中しない(部長職)」「社員間で業務外の用途に使用される(係長・主任職)」といった、仕事に支障を来すことを理由に挙げている回答者がいる一方で、「社内SNS」にはそれが見当たらないことである。
「社内SNS」は基本的(設定に寄るが)に投稿内容は社員全員が閲覧できることを前提に利用するため、業務外の用途に使うことはほとんどなく、投稿時にアラートが上がることも少ないが、「ビジネスチャットツール」はメッセージを受信した際にリアルタイムでアラートが上がることがほとんど。メールよりもリアルタイムな返信が求められる傾向にあることから、業務に支障を来すと考える人も少なくないようだ。
前編では、「社内SNS」および「ビジネスチャットツール」の利用目的、利用状況、満足度などを、主に両者の違いに焦点を当ててレポートした。両者の利用目的と利用状況は近い傾向を示しつつも、満足度に関しては「ビジネスチャットツール」が「社内SNS」を約20ポイント上回り、「社内SNS」には使い勝手に不満を抱える方が多いことが明らかになった。後編では、「オンラインストレージの導入状況」についてレポートする。
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