同時に、「サプライチェーン管理における問題点」について、1位から3位までを選んでもらった(図2)。
全体(1位から3位までの合計)では「経営に影響する情報の把握に時間がかかる(53.9%)」「予算と実績のギャップを把握しにくい(51.8%)」「生産計画の精度が低い(49.6%)」「製造・販売・在庫情報の連携が不十分(48.6%)」の4項目が5割前後の回答者に選ばれており、それ以外の項目も合わせて、「時間がかかり過ぎる」ことと「精度が低い」ことが問題点とされている。また「製造・販売・在庫情報の連携が不十分」が1位に選ばれた率が高かった(19.2%)。
「導入済みのSCMに満足しているか」を聞いてみると、「とても満足している」は7.5%と少なく、「まあ満足している」を合わせると6割強という結果が出ている。完全に満足はできていないものの、不満が決定的なものになっているわけではないようだ。
ここでフリーコメントに目を向けると、現在のサプライチェーン管理業務への不満として「地震や台風などで流通に変化が生じた際、動きがストップしてしまう」というリスク対策の課題を指摘するものが見られた。先の九州地方の地震では、物流や設備の問題から一部製造業の生産ラインが止り、財務状況に大きな影響を与えかねない状況が発生していたこともあり、同様の自然災害発生時のリスク回避に課題を感じた回答者が少なくなかったようだ。
この他、「供給サイドの精度が低い」「客先への納期回答方法が不十分」という回答もあった。需要と供給の調整を行う際、供給(生産)側の精度が低くなる要因は幾つか考えられる。部材の調達スケジュールや生産プロセス最適化が不十分であったり、工数見積もりが曖昧だったりして、信用できないデータを参照しているケースなどだ。これは、システム的な問題の場合もあるが、遅れを申告しにくい企業風土といった組織的な問題が影響する場合も考えられる。部材供給元を含む納期精度の最適化が必要な場合も考えられる。
また、「社内システムとの連携がほとんどできていない」「社内で使っている基幹システムにおいて、経理部門と販売管理部門とが別々の連携していないソフトを使っており、計算を合わせるのが難しい」「10年以上前に導入した国内専用の仕組みのため、海外含めたグループ全体を把握できない」「うまく連携できていない。SCMの標準システムに入力するデータ以外にも情報を求められており、提供作業に時間がかかる」という声も聞こえた。
本来であれば、計算は合っている「はず」にもかかわらず、計算が合わないために現場レベルで「数字を合わせる」というムダな作業が発生していることを示唆する指摘だ。
満足度で「やや不満」および「とても不満」とした回答者からは、「オペレーションが複雑」「使いにくい」「連携範囲とその精度にやや難がある」「導入費用や運用にかかる工数に対して、投資対効果が見えない」「マスターのメンテナンスコストが大きい」といった声が挙がっている。「システムがブラックボックス化しているため手が付けられない」という恐ろしい状況を嘆くコメントも見られた。
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