一見大きな差異があるように見えないオンラインストレージサービスも、容量や金額はもちろん操作性や機能などに違いがある。
さまざまなベンダーが提供するオンラインストレージサービスは、それぞれに大きな差別化ポイントがあるようには見えません。しかし、プランの内容を熟読すると、データ保存容量や利用料金だけでなく、操作性やセキュリティ面などで細かい違いがあることが分かるはずです。
導入後に「もっといいプランがあったのに」と後悔しないためにも、各社が提供するサービス内容やプランを調べ、よく比較する必要があります。今回は、オンラインストレージを選ぶ時に注意すべきポイントを紹介します。
まず、全体でどの程度のデータを保存するのかを確認しましょう。法人向けサービスでは、ユーザー1人当たりの利用可能容量が決められているタイプと、全社でディスクの総容量を共有するタイプがあります。いずれの場合であっても、おおよそのデータ量を見積もっておきましょう。また、サービス利用開始後に、ディスク容量の追加が可能かどうか、追加料金はどのくらいになるのかも調べておく必要があります。
次に、1ファイル当たりの最大アップロード容量を確認します。音声データや動画データなど、大容量ファイルをオンラインストレージで取り扱う可能性があるのであれば、最大容量が無制限になっているプランを選びましょう。
オンラインストレージサービスに、データのバックアップ機能が備わっているかどうかを確認しましょう。この機能があると、誤ってデータを消去してしまったとしても復元できます。
また、オンラインストレージの便利な機能として、作業履歴の任意の段階に復元できるバージョン管理機能が挙げられます。特にデータをチームで共有し、共同作業を行う場合には、作業中のデータの安全性が保証されるので不可欠ともいえる機能です。ただし、サービスによってバージョン管理できる世代数は大きく異なります。どの程度、履歴が保存できるかの確認も忘れないようにしましょう。
取り扱うファイル数が多くなれば、オンラインストレージ内のデータ検索機能が重要となります。この機能がない場合、中身を確認するためにダウンロードしなければ目的のデータかどうかが分からない可能性があります。そのため、全文検索機能を搭載しているかどうかが選択のポイントとなります。
法人導入の場合、部門や部署、チームなどで共有フォルダを運用することが一般的です。利用メンバーが増えれば、ファイルの管理が複雑になります。ファイル名の付け方を工夫するといった独自の運用ルールを定めることで管理することも可能ですが、人力に頼るのは心もとないものがあります。
フォルダ分けの他に、タグ付けによる分類が可能であると、例えば特定のプロジェクトに関連するファイルだけを表示するといったことが可能になり、データへのアクセスがスムーズになるでしょう。
特に法人で利用する場合、オンラインストレージの管理者機能は注意深く検討すべきポイントになります。管理者向け機能の中でもユーザーの利用ログが取得できて、管理がしやすいかどうかは必ず確認しなければなりません。
例えば、情報漏えい事故が発生した場合に、一定期間のログが保存されていて、それを自由に分析できなければなりません。
ファイルのアップロードやダウンロードに関する状況をユーザーIDやIPアドレス別に表示できる機能や、領域の占有状況をグラフで分かりやすく表示できる統計機能なども大切です。
外部からアップロードされたファイルのウイルスチェック、ファイルデータの暗号化などのセキュリティ機能も法人向けオンラインストレージには不可欠です。
指定したIPアドレスやドメインのみがアクセスできるようにするアクセス制限や、特定の端末からしか接続できないようにする認証設定、フォルダごとにユーザーのアクセス権を管理できる機能を備えるサービスもあります。
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