セルフサービスBIを使いこなす従業員が1100人もいるNTTデータ。ユーザー部門が主体となってダッシュボード制作やデータ分析やできるといわれるセルフサービスBI、そこで情シスが持つべき役割は何だったのだろうか?
NTTデータは、BIツール「Tableau(タブロー)」を社内約60組織に展開し、1100人以上が利用しているヘビーユーザーだ。2017年4月18日に開催されたイベント「Tableau Conference2017 On Tour Tokyo」で、同社技術革新統括本部ITマネジメント室の黒木賢一氏が、Tableauの同社内での利用と社内展開のポイントを公表した。
NTTデータは、NTTグループの中で情報システムの設計・構築・運用などのソフトウェア領域を担っている。同社のTableau導入は2015年1月のTableau Desktopの数ライセンス購入に始まり、同年6月にはTableau Serverを希望組織に順次導入。2016年4月時点で200人以上が利用するようになると利用ユーザー数に制限のないCore数課金のServerライセンスに切り替えた。そのころから社内での利用に拍車が掛かり、現在(2017年4月)ではNTTデータグループ内の約60組織、1100人以上へとユーザーが急増した。
主に経営層と周辺スタッフが利用し、経営会議など重要な意思決定の場でも利用が進んでいるという。2017年からは国内および海外のグループ会社へのTableauの展開も始める。
黒木氏は、このデータ分析・活用の広がりにはキーとなったポイントが5つあるという。
これら5つのポイントの詳細が、以下のように解説された。
国内外に従業員8万人以上(連結:2016年3月現在)を擁するNTTデータグループでは、各部門がさまざまな業界の顧客に対して情報システム構築・運用などのビジネスを展開していることから、多様なデータ分析ニーズが社内に存在している。部門によって異なる分析ニーズにどう応えられるかが、1つ目のポイントだ。
同社のTableau導入・展開は、黒木氏が所属するITマネジメント室(社内IT部門)が主導したが、黒木氏は「新しい技術の導入時には、IT部門だけでなく、該当技術の有識者とタッグを組んでプロジェクトを推進できないか検討することが大事。他プロジェクトでの成功/失敗例などを踏まえ、より円滑にプロジェクトを進めることができる」という。実際に同社は社外向けにTableauのプロモーション、セールス、デリバリー、サポートを行うスペシャリスト集団「NTCC」と連携し、ノウハウの共有やコンサルティング、開発リソース調達で相互連携できる体制を作った(図1)。
導入は、Tableau Japanから無償で提供される「Tableau Drive」と呼ばれるセルフサービスBIの導入手法に関するドキュメントをベースに、NTTデータ独自の知見・経験を追加して行われた。その取り組みは、図2のように4つのフェーズに分けられる。先ほどの5つのポイントは、各フェーズを進める上でのポイントとして紹介された。
NTTデータではTableau導入前からBIツール「Biz∫(ビズインテグラル)BI」をグループ内約60社が財務・人材・購買のデータ分析で利用している。ユーザー部門からの分析要望をITマネジメント室が受け取り、集約・絞り込みをした上でレポートを作成していたが、利用が進むにつれてレポートの提供までに時間がかかることや、細かな要望には対応できないことが課題となっていた。
そこでセルフサービスBIの導入が検討された。黒木氏は、セルフサービスBIの運用には2つのパターンがあるという。レポート開発の中心をIT部門(推進部門)が担当するか、ユーザー部門(業務部門)が担当するかの違いだ(図3)。「どちらのやり方でも成功しているケースは知っているが、当社では分析ニーズの多様化への対応、つまり事業環境変化に応じた柔軟な分析が可能になる「ユーザー部門が中心」となるパターンを選んだ」(黒木氏)
これにより、ユーザー部門自身が事業環境に応じて必要なレポートをタイムリーに作成・活用できるようになることを目指した。ITマネジメント室は、全社共通のレポート作成を行うほか、ユーザー部門のデータ分析がより効率的になるように、社内システムのデータの提供や蓄積されたノウハウの提供などユーザー部門の分析サポートも担うようにした。
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