「セルフサービスBIって従来のBIと何が違う?」そんな疑問を抱える人も多いかもしれない。今回はセルフサービスBIがBIツール業界の中で注目されるようになった理由や導入効果、情報シスの役割などについて検証する。
最近よく耳にする「セルフサービスBI」という言葉だが、いまひとつピンと来ない人も多いのではないか。そこでセルフサービスBIとはどのようなものなのか、注目を集める理由や従来のBIツールとの違い、そして期待される効果や情報システム部門の役割などについて検証したい。
まずは「セルフサービスBI」とはどのようなものを指すのか、どういった経緯で登場し、そしてなぜいま注目されているのか、順を追って見ていきたい。
「セルフサービスBI」基本的な定義は、エンドユーザーが自らの手でデータを分析/活用することだと言っていい。ITや統計分析などに関する特別な知識やスキルを持たない経営者や営業部門、マーケティング部門のスタッフが、売り上げデータや、顧客データ、在庫データといった社内のデータ、さらにはSNSなどのWeb上のデータや公的機関が公開している人口統計や地理情報などのオープンデータといった、さまざまなデータをリアルタイムに自在に組み合わせながら可視化することでビジネス判断に必要な知見を得ることができる──それがセルフサービスBIの根幹となる考え方だ。
一方、従来ながらのBIというのは、IT部門が作成した紙の帳票やダッシュボードなどのようにレポートが主体であり、ビジネスの現場で意思決定を行うユーザーが自らの手でデータを選択して可視化しながら判断を下すといった用途には不向きであった。ビジネスを取り巻く環境がますますスピードアップする中、現場でのより迅速な意思決定が求められるようになっていることもあり、BIのトレンドはここに来て急速に「セルフサービス」へと移り変わっているのである。
このような背景を受けて、調査機関のガートナーも2016年のBI市場の「マジック・クアドラント」(4つのブロックに分けて市場での各ベンダー間の相対的なポジションを示す図)の評価基準を大きく変更しており、「リーダー」に該当するBIベンダーは、2015年の9社からわずか3社に絞られることとなった。
その3社とは、Tableau(タブロー)、QlikTech(クリックテック)、Microsoftで、いずれもいち早くセルフサービスBIに注力してきたベンダーである。また、3社が提供するセルフサービスBIツールはどれも、グラフィカルな表示機能や、ExcelやAccessを使ったことがあるユーザーであれば比較的容易に使いこなすことができるような分かりやすいインタフェースを備えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。