世界10カ国の企業のCEOを対象に、KPMGコンサルティングが調査を実施。日本のCEOは何でこんなに悲観的、消極的なのか。実態があらわになった。
KPMGコンサルティングは、9月13日、世界10カ国のCEO(最高経営責任者)を対象に行った「KPMGグローバルCEO調査」の結果を発表した。これによると日本のCEOは世界のCEOに比べ、最新のテクノロジーへの関心は高いが、それに対しての具体的な対応をなかなか取れずにいる実態が明らかになった。
本調査はKPMGグループが毎年行っているもの。各国のCEOが向こう3年間の見通しについて回答している。調査概要は以下の通り。
まず特徴的だったのが「今後3年間の成長見通し」についてだ。世界経済の見通しについて「非常に自信がある、または自信がある」と回答した日本のCEOはわずか21%にとどまった。2016年の調査時には93%もあったのに対し、今回は21%と72ポイントも下がっている。
グローバル全体の平均と比較しても、全体は65%と44ポイントの差が開いている。日本のCEOは世界経済の行先にかなり不安を感じていることが読み取れる(図1)。
KPMGコンサルティングの宮原正弘社長は、本調査の結果全体について、英国のEU離脱や米国のトランプ大統領就任、各地でのテロ発生など、この1年に起きた世界情勢の激しい変化が影響しているのではないかと評価した。本稿では、調査結果のうち、日本の動向を中心に紹介する。
「今後3年間で自社の成長に最もインパクトを与える要素」として日本のCEOが選択したのは、1位が「レピュテーション/ブランドリスク」(19%)、2位「世界経済」(16%)、3位「地政学的要因(選挙、社会不安など)」(15%)、4位「最新テクノロジー」(9%)、5位「規制の変化」(9%)の順であった。2016年の調査と比較し、ブランドリスクや地政学的要因の項目が伸びている(図2)。
3位にランクインした「地政学(ここでは世界の政治情勢などを指す)」であるが、これにおける自社の対応状況も聞いている。日本のCEOは、回答が多いものから順に「シナリオ・プランニングにより多くの時間をかけている」(84%)、「現在の不安定な政治情勢は自社にこれまにない影響を与えている」(55%)、「地政学リスクの理解向上のためスペシャリストの採用を強化している」(46%)、「グローバル化と保護主義の波によって、グローバル展開を見直している」(28%)となった。一方、グローバルでは「スペシャリストの採用強化」(69%)、「グローバル展開の見直し」(43%)の2項目が日本よりはるかに高い数値を示した。
この結果から、日本のCEOは世界平均より危機感を感じているものの、スペシャリストの採用やグローバル展開の見直しといった具体的な施策の取り組みが、世界と比べ遅れていることが明らかとなった。
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