「従業員をないがしろにする日本企業は間違っている」――従業員満足度と生産性の相関に着目したデルの働き方改革にはファシリティ改善と組織運営のノウハウが詰まっていた。ヒントは7つの働き方にある。
「働き方改革については私も当初、懐疑的でした。今ではテクノロジーの進化のありがたさを享受しています。社内にこんなに業務効率化のノウハウがあるということも理解し切れていなかったことが経験から見えてきました」――講演でこう振り返るのは、デル 常務執行役員の山田 千代子氏だ。
山田氏のチームが、働き方改革を実践した結果、現在はどのようかというと、次の画像の通りだ。画像は山田氏の部下の個人的なもの。週に1度程度のテレワークに踏み切ったことで、家族や趣味のための時間が増え、充実した生活を送っている様子がよく分かる。
「部下がこんなに積極的に資料を提供してくるなんて、思いもしなかった」――家族や趣味のための時間が増えたことで、職場の活動にも積極的に関与するメンバーが増えているという。
Dell EMCが10月26日に開催したプライベートイベント「Tokyo Dell EMC Forum2017」の講演「Dellが考えるワークフォース ランスフォーメーション〜データが示す働き方の変化とDellが社内で推進する働き方改革の実例〜」では、同社が実際に体験した働き方改革の方法論や検証結果を実際の資料を基に山田氏自らが成果を発表するものだった。
自身も子育てや家事に追われながら仕事をこなしてきた経験もある山田氏の視点から本音を交えた働き方改革の方法を紹介する。ポイントは、従業員の満足度に注力した、いわば内向きの施策と「7つのメソッド」にある。
山田氏は、1995年7月にラージアカンウトセールスの内勤営業としてデルに入社。その後、内勤営業部長、周辺機器担当部長、セールスオペレーション担当部長を歴任し、2012年8月に法人営業統括本部 内勤営業統括本部長に就任。現在は、クライアント・ソリューションズ統括本部長として、クライアント向けビジネスを統括している。
内勤営業やセールスオペレーション、クライアントビジネスをリードしてきた同氏の目から見ても、近年の働き方改革を支えるテクノロジーは「想像以上に進化を遂げており、大きな成果を生み出せるもの」になっているという。山田氏の講演は、実際の経験した同氏の社員の本音を交えながら、働き方改革の必要性と効果、今後への期待を示す内容になった。
山田氏はまず、働き方改革が注目を集める理由を「ビジネスリーダーに危機感があるから」と指摘した。新しいデジタル産業が生まれ、国際競争が激化するなか、労働人口は減り続けている。生き残っていくには今までのやり方ではダメだという危機感があり、それが働き方改革への期待につながっている。
「競争を勝ち残っていくためには継続的なイノベーションが必要です。そうすると、テクノロジーを優先的に考え、ITインフラへの投資を進めるという話になりますが、実際に取り組みを進めるのは人です。人が生産性を上げて創造性を発揮するようなIT投資でなければ成功には至らないのです」
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