自社の改革に対する厳しい声も上がるが、2019年4月から働き方改革法案が順次施行され、改革の追い風になることが期待できる。企業は法案の施行をどのように受け止めているのか、アンケート回答者全員に聞いた。法案の認知度を調査したところ、「言葉も知っており、内容も理解している」は30.9%、「言葉は知っているが、内容は理解していない」は62.6%、「言葉も内容も知らない」は6.6%だった。
さらに、働き方改革関連法案に関する項目で興味関心のあるものを聞くと、1位に「有給休暇取得の義務化」(54.8%)が挙がり、2位に「残業時間の規制の厳格化」(46.9%)、3位に「同一労働同一賃金のルール整備」(35.6%)が続いた。長時間労働の是正に関する関心の高さがうかがえた(図4)。
その他、「働き方改革関連法案の施行後に、働き方改革はどのように変化するか」という質問をしたところ、「変わらない」と答えた企業が最も多く39.7%。続いて「少し良くなると思う」(36.2%)、「少し悪くなると思う」(10.9%)、「とても悪くなると思う」(7.9%)、「興味がない」(3.2%)、「とてもよくなる」(2.1%)という回答が並んだ(図5)。
全体で見れば程度にかかわらず「良くなる」と答えた割合が「変わらない」「悪くなる」を下回っていることから、法案への期待度の低さがうかがえる。
ちなみに、フリーコメントの中には「企業サイドからの要求でできた法律だと思う。働き方など政府が指示するなどもっての外。働くのは自由だ」という回答も見られた。
最後に、回答者全員を対象として、働き方改革を実行する上で欲しいIT製品やサービスを聞いた。その結果、具体的な製品としては「タブレット」(21.5%)や「コミュニケ―ションツール(チャットなど)」(18.2%)、「オンラインストレージ」(17.5%)が上位を占めた。いずれも、企業ポリシーによって導入の可否が分かれるものだが、今後は働き方改革を背景に、多くの企業でポリシーが見直され活用が広がると予想できる(図6)。
今回の調査結果からは、企業における働き方改革が着実に進んでおり、その意識が長時間労働の是正から「柔軟な働き方の実現」へと一歩先に広がっていることが感じられたが、実際の取り組みに反映されるのはまだこれからだと思われる。さらに、全ての企業が期待した効果を得られたわけではなく、現場の課題や、経営陣・組織に対する厳しい意見も聞かれた。「労基法違反企業の経営者への厳罰化をしてほしい」「働き方改革で欲しいITツールは……経営陣のやる気」という声もあり、課題を多く抱える企業も存在する印象だった。
キーマンズネットでは、今後も働き方改革の動向を追いながら、企業に役立つIT製品やサービスを紹介したい。企業の働き方改革に少しでもお役に立てたらうれしい。
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