5G+IoT+高精細映像が創る「スマートハイウェイ」(2/2 ページ)
実証実験2:4K高精細映像とAI画像解析で落下物や逆走車を発見
もう1つは、インターチェンジ付近で路面への落下物や逆走車を検知する実験だ。愛知県の知多半島道路半田中央インターチェンジに設置した4K高精細カメラ(2台)で捉えた映像を無線伝送し、その近傍の5G基地局内で速やかにAIによる画像解析を行った。結果として、HD画質の映像では検知できないような小さな落下物でも画像解析によって自動検知できることが確認された。
このとき利用された5G基地局は、ソフトバンクが「おでかけ5G」と呼ぶ可搬型の基地局である。
この基地局にはコンピュータが備えられていて、AI画像解析をその場で実行できる。つまりこの基地局はエッジコンピューティングを行うMEC(Multi-Access Edge Computing)サーバでもあるのだ。分解して自動車で運べるため、必要なとき必要な場所に簡単に設営して、基地局機能とエッジコンピューティングを担うことが可能になる。
一般的に画像解析にはクラウド上の解析サービスが使用されるが、エッジコンピューティングでデータ量の多い映像などのデータを処理し、処理結果のデータだけを監視センターなどに送るようにすれば、ネットワークを圧迫することもなく、落下物や逆走車などの危険な状況を通報することが可能になる。5Gの高速・大容量性が生きるユースケースの典型例といえるだろう。
ポイントは人による映像目視が不要で常時監視できる点だ。コストが低減できるうえにヒューマンエラーがなくなる。このような仕組みは高速道路だけでなく、図にあるように山間部、農場・牧場、工場内、鉱山など、基地局の常時設置が難しいケースでさまざまな応用が考えられる。
実証実験3:太陽光で稼働する渋滞監視システム
3つ目の実験は、ミリ波レーダーを応用したドップラーセンサー(動体センサー)による渋滞状況の監視である。こちらは知多半島道路の大府東海インターチェンジ周辺の上り車線で実施された。ソーラーバッテリーとセンサー、そしてNB-IoT通信機を備えた簡易トラフィックカウンターを複数設置することで、渋滞の発生を検知し、また渋滞の長さ(距離)を精密に測定することに成功した。
従来は、特定場所の路面にコイルを仕込んで走行車両の有無や速度を検出するトラフィックカウンターが使われてきたが、路面の工事の必要もあり、システム自体も高止まりしていた。そのためインターチェンジ部やサービスエリアの出入口付近など限られた場所での観測にとどまっていたのだが、この実験の方法なら、はるかに多数の箇所に低コストでトラフィックカウンターを設置できる。ここではNB-IoTを利用しているが、コストさえ見合えば5Gでも当然実現可能だ。
ちなみにソフトバンクはこの他、5G(NR)を利用した車車間通信技術も開発しており、2018年1月には屋外実験で1ms以下の低遅延通信に成功したことを発表している。これはトラックの隊列走行などの交通・物流の効率化への大きな貢献になるだろう。他のキャリア、SIer、道路運営会社、建設会社、その他さまざまな業種の民間企業がスマートハイウェイに関連する新技術開発に取り組んでおり、実証実験や実用化例が今後も続々と出てくるはずだ。期待をもって注目したい。
※今回の実証実験は、総務省から受託した「高密度に展開された端末の多数同時接続通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討(平成30年度)」の一部で、上述の2社のほか、パシフィックコンサルタンツ、前田建設工業、愛知道路コンセッションとの協力により実施したものである。
訂正(2019年6月26日11時)
本稿初出時の記載に誤りがありましたので、訂正いたします。
実証実験はに生かされた特徴として、「超高速」(eMBB:enhanced Mobile Broadband)、「同時多数接続」(mMTC:massive Machine Type Communication)、「超高信頼低遅延」(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)の3つを挙げましたが、超高信頼低遅延について削除しました。
記事内に記載されていた基地局の一部表現を、「ソフトバンクが『おでかけ5G』と呼ぶ可搬型の基地局」に修正しました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
5分でわかる最新キーワード解説
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoftが進めるCopilot再編 「Microsoft Copilot」への移行で、企業への影響は?
-
2
iPhoneが「再起動後だけ」落ちる怪……犯人は40年前のUNIXコード なぜ今も?:897th Lap
-
3
「Gemini Notebook」になって何が変わった? NotebookLMからの変更点をおさらい
-
4
双日調査、Copilot導入企業の87.5%が「情報分散」を課題 「横断検索AI」に期待か
-
5
AI研修を受けた人は1割未満 「学びたい」4割超なのに、なぜ?
-
6
神戸市、Copilotの弱点を「Dify」でどう解決? あえて自前でAI環境を構築した理由
-
7
AIを入れても仕事は変わらない? アビームとNotionが「企業ナレッジ」に注目する理由
-
8
AIを入れても「最後は人頼み」 自動化の穴を「AI+人」で埋める新たなBPOサービス
-
9
「AIで資料は作れるけど、増えすぎた」を解消するNotebook機能とは?
-
10
AI攻撃は「調べて対応」では間に合わない ゼットスケーラーがSOCをAIエージェント化
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー