メディア

テレワークでやっぱり課題なアナログ業務、最新版調査まとめ

新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として多くの企業がテレワークに取り組んでいる。各企業が実施しているテレワーク関連調査では“アナログ業務”に関する課題が共通して明らかとなった。

» 2020年05月14日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い緊急事態宣言が発効されてから1カ月超が経過した。テレワークや時差出勤など感染拡大防止策が求められる中、国内のビジネスはどう変化したのだろうか。ITRをはじめ3社によるテレワーク関連調査では"アナログ業務"の課題が明らかとなった。本稿では、2020年5月以降に配信されたテレワークに関する調査ニュースをまとめて紹介する。

テレワークに関する調査のニュース

  • 「今後の焦点は文書の電子化対象の拡大」ITR、コロナ禍の企業IT動向調査
  • ワークフロー見直したい経営層88%、紙やはんこのアナログ業務を課題視か
  • 緊急テレワークの困り事「営業活動できない」、ソフトブレーン調査

「今後の焦点は文書の電子化対象の拡大」ITR、コロナ禍の企業IT動向調査

 ITRは新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、国内企業のIT動向調査「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」(2020年4月24〜27日、回答数1370件)を実施した。同調査の結果(2020年5月12日発表)によると、自社のIT戦略の遂行(デジタル化の進展)への影響について、企業のIT戦略は「大いに加速すると思う」が27%、「やや加速すると思う」が44%であった。減速を見込む回答の割合は10%を下回り、ITRは世界規模の感染拡大により企業活動におけるITの重要性が改めて認識されたとしている。

 また、今後のIT施策としては短期的(3カ月以内)には「PC、モバイルデバイスの追加購入・追加支給」と「ネットワーク・インフラの増強」が多く挙げられた。中長期的(3カ月以上先)には「社内文書(申請書など)の電子化対象拡大」「社外取引文書(契約書など)の電子化対象拡大」といった項目が上位となり、テレワークによって文書の取り扱いに関する非効率な業務が可視化され、その改善に取り組む企業が増加すると予測している。

ワークフロー見直したい経営層88%、紙やはんこのアナログ業務を課題視か

 ワークフローツールを提供するエイトレッドは、新型コロナウイルス感染症拡大がBCP(事業継続計画)策定にどう影響しているかを把握するためWebアンケート調査(2020年4月27日〜5月7日、CP策定企業で働く経営者・役員385人)を実施した。調査結果では、感染症に対応するためのBCPの策定が必要と考える経営者・役員は95.8%となった。BCP策定が必要と考える経営者・役員の中でも、BCP策定に当たりワークフローのシステム化や見直しが必要だと考える回答者は88%となった。経営層は具体的にどういったワークフローの見直しが必要と考えているのだろうか。

 ワークフローのシステム化が必要だと考えるかという問いに「とても必要」「必要」と回答した回答者に「ワークフローに関して、具体的にどの事項の見直しが必要だと思いますか」と質問したところ、「業務プロセス全体」が65.2%、「各種資料のペーパーレス・デジタル化」が58.5%、「外出先(オフィス外)からの申請・承認」が49.8%という結果となった。同社はこの結果を受け紙文化やハンコ文化といったアナログ業務を理由にテレワークが進まないことは課題だとし、BCPの中で明確に策定して解決を図りたい経営層も少なくないと分析している。

緊急テレワークの困り事「営業活動できない」、ソフトブレーン調査

 営業支援システムを提供するソフトブレーンは、経営者や営業幹部向けのWebセミナー参加者を対象に「テレワークの実態調査」(2020年4月23、24、30日、705人が回答)を実施した。同年5月12日に公表された調査結果では、セミナー参加者の94%がテレワークを実施しており、そのうち49%が従業員7割以上の規模で実施していることが分かった。また、テレワークを実施している回答者にテレワークの課題を聞いたところ「営業活動の停滞」が72.6%を超えた。次いで「コミュニケーションロスが増えた」(37.4%)「マネジメントが行き届かない」(33.2%)と、部門を超えたテレワークの課題が挙がった。具体的に営業業務はどういった点が課題とされているのだろうか。

 同社によると、これまで当然とされてきた電話でのアポ取りやオフィス訪問が難しく、実際に「業務が中断している」「顧客訪問できず何もできない」「メンバーに適切な指示を出せない」といった悩みを抱えている企業は多いという。テレワーク実施中の回答者にITツール状況を尋ねたところ、モバイルPCやスマートデバイスの導入は82.5%、Web会議ツールは78.9%となった。一方、SFA(営業管理)は37.7%、CRM(顧客管理)は33.9%にとどまる結果となった。同社は「非訪問型営業/インサイドセールス」の強化が急務となった今こそ、営業支援ツールを活用したテレワーク営業の強化やプロセスマネジメントが重要だとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。