連載3回目は、読者から寄せられたテレワークでの「ネットワーク」「デバイス」に関する課題や問題点を紹介する。勤務先で実際に起きたテレワーク中のトラブルに関して、フリーコメント形式で尋ねたところ、多数の“珍事件”が寄せられた。
キーマンズネット編集部は2021年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「テレワークインフラ」「従業員コミュニケーション」「オフィス」「デジタルスキル」「人事制度」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2020年11月10日〜12月11日、有効回答数866件)。企業における2021年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
第3回のテーマは、ネットワークやデバイスに関する「テレワークインフラ」だ。
テレワークは最低限の環境として、通信回線とPCさえあれば始められるが、就労環境によってはネットワークが安定していなかったり、支給されたPCがWeb会議や業務に耐え得るスペックではないものだったりなど、陰ながら何かしらの不満を抱えている人もいるだろう。第3回では、そうしたテレワークにおける従業員の不満と企業の課題をあぶり出すために、「ネットワーク」と「デバイス」にフォーカスして、勤務先でのテレワークの実情を尋ねた。その調査結果を紹介していく。
まずは、IT環境に関する項目からだ。勤務先におけるテレワークのIT環境にまつわる課題点を選択式(複数回答可)で尋ねたところ、最も回答が集中したのが「通信環境の安定性」で48.7%、次いで「VPNの帯域の逼迫(ひっぱく)」(43.9%)、「社内システムへのアクセスの集中、負荷」(34.5%)、「PCのディスプレイが小さい」(23.8%)、「セカンドディスプレイがない」(19.9%)がトップ5を占める結果となった。
在宅勤務だと従業員によって契約している回線プランやデータ容量などが異なり、個々でネットワーク環境に優劣が生じやすいためか、通信環境に対する不満が1位となった。また、テレワーク問題として代表的なVPNに関する問題が2位となった。デバイスに関しては、小さなディスプレイでの作業が長時間続くとなると作業効率も低下しがちで、ストレスがたまりやすいためか、ディスプレイに関する不満が3位、4位を占める形となった。
ディスプレイが小さいなど、PCに関する不満のポイントが挙がったが、これを受けて勤務先でPCの選定指針に何か変化はあったのだろうか。勤務先におけるPC選定指針の変化の有無について選択式(複数回答可)で尋ねたところ、「何も変化はなかった」が最も多く67.7%、「デスクトップからノートPCにした」18.2%、「持ち運びのしやすさが選定指針に加わった」が10.5%など、何らかの変化があったと回答した割合はそう多くはなかった。
業務で利用するデバイスは生産性や効率に直結するため、テレワークを中心に業務を進める組織であれば、デバイスの選定方針もそろそろ見直したいところではあるが、アンケートを実施した2020年11月〜12月にかけては、大きな変化は見られなかったというのが、今回の調査だ。
年末年始のイベントや行事などもあってか、2021年1月上旬から再び新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が増え、その勢いは2020年4月の緊急事態宣言時を上回るほどだ。こうした状況を予測してか、企業の中には2020年内に全社的にテレワークへシフトするなどの動きもみられたが、自宅での勤務が続くとなると何の補填(ほてん)もなしに、個人契約の通信回線などを業務で利用することに疑問を感じる人もいるだろう。こうした声を受けて、何らかの手当てを支給する企業もあるが、読者の勤務先における状況はどうだろうか。
テレワークの環境整備のために勤務先に求めるものを選択式(複数回答可)で尋ねたところ、「テレワークをしていないので、該当項目がない」を除くと、「通信費用の補助」が最も多く50.8%、次いで「周辺機器の購入費用の補助」が46.8%、「電気代の補助」(39.4%)、次に大きく差をつけて「BYODデバイスの買い替え補助」(11.8%)となった。
最後にネットワークやデバイスなど、テレワークで業務を進める上で実際に起きたトラブルや問題についてフリーコメント形式で尋ねた。「デバイス」「ネットワーク」「その他の問題」の3つに分けて、テレワーク中に実際に起きた“珍事件”を紹介する。
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