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オンライン講義だけで「デジタル化」と言えるのか? 大学運営の課題が明らかに

ビジネスのデジタル化が推奨される中、大学は紙を扱う業務やオフライン前提のワークフローなどが根強く残り、デジタル化が遅れていることが分かった。

» 2021年03月11日 10時11分 公開
[キーマンズネット]

 コロナ禍によって教育のリモート化が進んでいる。「Zoom」や「Microsoft Teams」などを活用したオンライン講義の実施は広がっているが、事務作業に関しては「慣習」や「適切なツールがない」などを理由にデジタル化が遅れていることが分かった。

講義は89%が「デジタル化されている」、一方で事務作業は?

 コンカーは2021年3月10日、大学の業務のデジタル化に関する調査結果を発表した。調査期間は2020年12月11〜14日で、大学に勤める教員と職員412人から回答を得た。

 まず、自身の主な業務について、デジタル化が必要だと思うかどうかを尋ねた。すると、「デジタル化が必要だと思う」と回答した割合は82%となり、大半を占めた。

業務をデジタル化するべきだと思う人の割合(出典:コンカー)

 実際に業務がデジタル化されているかどうかを聞いたところ、講義が「デジタル化されている」と回答した人の割合は89%あった。一方で大学での事務作業が「デジタル化されている」と回答した割合は58%にとどまった。

講義はデジタル化が進む一方、事務作業は遅れている(出典:コンカー)

 事務作業のデジタル化が進まない理由としては、「従来の慣習」との回答が最も多く、86%(複数回答)の人が挙げた。次いで、「必要なツールがない」(73%)、「学内規程上の問題」(60%)、「外部機関からの要請」(51%)と続いた。コンカーでは、事務処理のフローが既に決まっている場合はすぐに変更するのは難しい上に、大学の業務に対応するツールが少ないことが、デジタル化が遅れている原因だと分析している。

大学の事務作業においてデジタル化が進まない理由(出典:コンカー)

 一方、物品の購入や経費精算、監査対応などの処理方法について聞いたところ、いまだに紙を用いている割合が高いことが分かった。具体的には、「物品の購入や支払い手続き」に「紙で処理している」と回答した割合は39%、「専用システムなど」は37%、「Excelなどの表計算ソフト」は14%だった。また、「出張費の精算」では、「紙で処理している」が39%、「専用システムなど」が40%、「Excelなどの表計算ソフト」が12%。「会計検査院や監査法人などへの対応」では、「紙で処理している」が33%、「専用システムなど」が40%、「Excelなどの表計算ソフト」が12%だった。

紙を扱う業務が多い(出典:コンカー)

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