これまでソフトウェアベンダーは海賊版の横行に対してさまざまな打ち手を講じてきたが、それでも海賊版の流通は防げなかった。Microsoftはこの問題に対して正攻法ではなく、逆の発想で乗り切ろうと考えた。
ソフトウェア開発元は、海賊版(非正規版)の横行とその対応に苦慮してきた。あれやこれやと手を尽くしても新たな海賊版が出回り、イタチごっこを繰り返すだけだった。
Microsoftの代表的なソフトウェア「Microsoft Office」「Microsoft 365」も海賊版が出回っていたが、同社は逆転の発想でこの問題に対処しようと考えた。Microsoftが考えた、まさかの対処法とは?
Microsoft Officeと言えば、サブスクリプション型のMicrosoft 365の他にもパッケージ版や、「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」の単体版など、さまざまな形態で提供されている。
Microsoft 365をはじめとしたOfficeシリーズは海賊版が多く出回っており、ショッピングサイトやオークションサイトでは異常なほどの低価格で売られている。海賊版の中には購入後にライセンス認証ができないものやウイルスが混入しているものもある。
Officeシリーズの海賊版問題に対するMicrosoftの打ち手を報じたのはTech系サイトgHacks.netだ。2021年12月3日に同サイトで記事が掲載され、大きな話題を呼んだ。
記事によるとMicrosoftは、Microsoft 365の海賊版を利用するユーザーに対して「正規版を50%オフで提供する」と呼びかけたという。
同サイトに記事を寄稿したAshwin氏によれば、彼の友人が海賊版Microsoft 365のExcelを使っている時に、リボンメニューに奇妙なメッセージが表示され、そのスクリーンショットを送ってきたという。
リボンメニューには「Get up to 50% off. For a limited time, save up to 50% on a genuine Microsoft 365 subscription」と表示されていた。「期間限定で最大50%オフでMicrosoft 365サブスクリプションを購入できる」という案内だ。
メッセージにあるリンクをクリックすると、Microsoftの公式Webサイトへ誘導される。そのページでは「Pirated software exposes your PC to security threats」というタイトルで海賊版Officeが危険であることを解説するとともに、特別価格でMicrosoft 365がサブスク契約できる旨が表示されていた。
米国では「Microsoft 365 Family」が年額99.99ドルで、「Microsoft 365 Personal」が年額69.99ドルで提供されており、それらを半額で利用できるということだ。
海賊版ユーザーへの格安サービスの提示は、ソフトウェアの開発元として正しい判断なのだろうか。そこは物議を醸すところではあるが、解決の一手段として斬新であることは間違いないだろう。
この件を投稿したAshwin氏は「海賊版ユーザーはカネを払いたくないのではなく、払う余裕がないのだ」と記事に記した。結局のところ「海賊版ユーザーは半額だろうが購入することはないだろう」というのがAshwin氏の見解のようだ。
果たしてこのMicrosoftの“荒療治”によって、海賊版を撲滅とまではいかないまでも、いくらかは減少させることは可能なのだろうか。この施策の結果か気になるところだ。
上司X: Microsoftが海賊版Officeに思い切った手段を採った、という話だよ。
ブラックピット: へー。海賊版ユーザーに50%オフの案内ですか。なんともまあ。
上司X: これで海賊版ユーザーが改心してくれればいいけどな。
ブラックピット: いやいや、そりゃ無理でしょうよ。
上司X: 何でそんなこと言うんだよ。こんなお得なオファーを断ることはないだろう?
ブラックピット: Ashwinさんは「カネがないから払えない」なんてことを言っていますけど、決してそうじゃないと思いますけどね。やっぱり払うのがイヤなんですよ。払うのがイヤなら使わなければいいのに……と僕は思いますけどね。
上司X: まあ正論ではあるけどな。それでも使わざるを得ないってとこなのかなあ。
ブラックピット: 使わざるを得ないなら、やっぱり対価は払うべきです。これは僕が真面目だとかそういうことではなくて、当たり前のことですよ。対価を支払わずに自分だけが得するってのはおかしさの極みです!
上司X: わかったわかった。ネットじゃコミックや動画の海賊版も横行してるし、ソフトも言わずもがなだ。Microsoftみたいに懐柔するような手法もアリではないかとも思うが……。ともかく、今回の割引オファーが成功するかどうかを見守りたいものだ。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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