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確定申告、不備が怖いから窓口で……e-Taxに関する意識調査

「確定申告のデジタル化に関する意識調査」によると、2021年分の確定申告で、e-Taxの利用意向を持つ青色申告者の割合は、対前年比で微増となった。その一方で確定申告の不備が怖いといった理由から抵抗のある人も多いようだ。

» 2022年02月10日 18時00分 公開
[キーマンズネット]

 2021年分の確定申告が2022年2月16日から始まる。最近では従業員の副業を認める企業も増加し、会社員にとっても確定申告はより身近なものとなった。

 従来、確定申告といえば煩雑な書類作成や混雑する窓口での手続きが風物詩となっていたが、確定申告もデジタル化が進み、証憑(しょうひょう)整理や取引記録に会計ソフトなどの利用や、「e-Taxによる申告」(電子申告)ができるようになった。従来の手作業による集計作業や申告書作成、税務署に出向いての申告書の提出に比べて作業負担が小さく、圧倒的に業務効率を高められる。

デジタル化した確定申告の流れ(出典:弥生のプレスリリース)

 電子申告の浸透を後押しするため、政府は、前回2020年分(2021年2〜3月申告)確定申告より電子申告優遇措置を講じた。従来の要件に加え「e-Taxによる申告」(電子申告)または「電子帳簿保存」をすれば青色申告特別控除65万円を受けられ、要件を満たさなければ控除額が55万円に引き下げられる。

 控除額の要件変更から2回目となる2021年分確定申告は、どのような変化が起きているのだろうか。クラウド会計ソフト「弥生シリーズ」などを提供する弥生は2022年2月7日、「確定申告のデジタル化に関する意識調査」の結果を発表した。

e-Tax利用は微増、非利用者は「不備が怖いから窓口で」「紙に慣れ」

 調査によると、電子申告(e-Tax)の利用意向がある人の割合は年々増加傾向にあり、2021年分の確定申告で、e-Taxの利用意向を持つ青色申告者の割合は、対前年比2.9ポイント増の39.3%だった。2019年分は26.5%、2020年分は36.4%で、微増の結果となった。

 白色申告者も含め、e-Taxを利用したいとした回答者にその理由を尋ねたところ(複数回答可)利便性が高いことが評価されているようだ。「税務署に行かずに済むから」と回答した人の割合が53.8%で最も高い。次いで、「時間を気にせずに手続きができるから」(46.9%)、「申請の時間を短縮できるから」(38.0%)、「混雑・人混みを避けられるから」(36.9%)、「手続きが簡単だから」(33.9%)が続いた。

e-Taxを利用したい理由(出典:弥生のプレスリリース)

 実際にe-Taxを利用している人の満足度は高い。2020年分の申告にe-Taxを利用した人のうち、約8割が満足と回答した。扱いが簡単なことや時間の制約がないこと、混雑が避けられること、記入漏れや計算間違いを防げることなどがその理由だ。それに対して不満と回答した人の理由としては、手順の煩雑さやソフトのインストールなど必要なものをそろえるのが大変といった意見が挙がった。

 一方、確定申告の悩み(複数回答可)では、「間違いや不備がないかどうか分からない」(39.7%)、「作成に時間や手間がかかる」(35.3%)、「書類の作成方法が分からない」(18.9%)がトップ3に挙がった。

 e-Taxを利用したくないと考えている人は、こうした悩みも原因になっているようだ。e-Taxを利用したくない理由を見ると、「税務署/確定申告会場で相談したいから」(17.4%、複数回答)が3位に入っている。1位は「紙での提出に慣れているから」(49.4%)2位には、「ICカードリーダー/ライターを買いたくないから」(22.1%)が挙がった。

e-Taxを利用したくない理由(出典:弥生のプレスリリース)

 2位の「ICカードリーダー/ライターを買いたくないから」だが、2021年分の確定申告からは、必ずしもICカードリーダー/ライターは必要ではなくなった。国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、スマートフォンのアプリ(マイナポータルアプリ)で2次元バーコードを読み取ることで代用できる。こういった仕組みの周知もe-Tax浸透に向け重要となるだろう。

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