「Power Platform」最新事情 6つの新機能とTeamsとの連携術3選
Microsoftのローコード開発ツール「Power Platform」に実装が予定されている6つの新機能と、「Teams」との連携で毎日の業務を省力化する3つの活用事例を紹介する。
デジタル化需要はさらに高まり、日本マイクロソフトによると今後5年間で開発されるアプリは50億本と過去40年間の累計数をしのぐ勢いだという。一方で開発エンジニアは世界で100万人が不足するとも言われ、このギャップは大きい。こうした事情を背景に「市民開発」と呼ばれる、専門技術者ではなく業務部門の人でもアプリ開発を可能とするローコード/ノーコード開発が広がりを見せる。
ローコード開発ツールの一つにMicrosoftの「Microsoft Power Platform」がある。業務部門でも短期間で実用的なアプリが開発可能だが、一体どのような活用法があるのか。日本マイクロソフトの増田雄一氏が実装予定のPower Platformの最新機能と、デモを交えた「Microsoft Teams」とのアプリ連携術を紹介した。
本稿は、オンラインイベント「Microsoft 365 & Teams Day 2022 ~New World Of Hybrid Work~」における増田雄一氏(日本マイクロソフト)のセッション「TeamsとPower Platform連携で実現する身近な業務のDX」の講演内容を基に、編集部で再構成した
Power Platformに今後実装される6つの最新機能
Power Platformは600以上のサービスや製品と連携できるインタフェース「データコネクト」や、標準のデータベース「Microsoft Dataverse」、AI(人工知能)モデルを構築できる「AI Builder」などの機能を備える。
これらの機能は随時改良が加えられているが、今後予定されるアップデートでは新たに6つの機能が加わるという。以降では、Power Platformに実装を予定されている6つの最新機能を紹介する。
1.コラボレーション機能の拡張
現状は「Power Apps」での作業時はロックがかかり、複数人での同時編集ができない。「Git」(分散型バージョン管理システム)を利用したソースコードの統合を可能にすることで、複数の開発者が同じブランチで共同作業でき、それぞれの変更を集約できるようになる。スピーディーかつリアルタイムでの共同開発が可能になり、開発効率がさらに高まる。
2.Access連携機能の提供
Power Platformの標準データベースである「Microsoft Dataverse」に「Microsoft Access」のデータベースをマイグレーション可能なコネクターが提供される。データのクラウド移行が容易になり、「Microsoft Power Apps」を用いたアプリ開発やワークフロー開発、BI分析などが容易になる。また、Accessへの書き戻しも可能にして双方向で同期したハイブリッドな運用も可能だ。Accessの移行や拡張を考える場合にも好適な選択肢となる。
3.Teams連携機能の拡張
拡張機能の目玉が、PowerAppsに「Microsoft Teams」のチャット機能が埋め込むことができることだ。Dataverseレコードとチャットのやりとりのひも付けが可能になる。例えば、問合せ対応アプリであれば、依頼者と対応者の会話履歴を問い合わせ案件にひも付けて管理することで過去の対応履歴を確認しやすくなる。現時点では、2022年春に公開予定とされている。
4.Windows11にPower Automateを標準搭載
Power Automateは、クラウド間でのワークフローの作成自動化だけでなく、RPA機能「Power Automate for desktop」も提供している。「Windows 11」にはPower Automate for desktopが標準搭載されている。
5.Teamsメンバーにチャットbotからの自動通知が可能
Power Platform に含まれるチャットbot作成サービス「Power Virtual Agents」で作ったチャットbotからプロアクティブにメッセージを通知できるようになる。これまではチャットbotに話しかけることで応答する仕組みだったが、次回のアップデートではこちらからアクションをしなくても、チャットbotから自動的に通知を送るなどが可能となる。例えば従業員に日報の提出を促す場合、「今日の日報が未提出です」といったリマインダーの通知をチャットbotから発信することも可能だ。
6.Power Automateにプロセスマイニング機能を追加
最後が、Power Automateに追加予定のプロセスマイニング機能「Proccess Advisor」だ。業務のプロセスデータをProccess Advisorに通すことで、「どこで無駄な繰り返し処理が行われているか」といった業務の改善ポイントが提示され、その情報を業務プロセス改善に役立てることができる。
TeamsとPower Platformで1日の業務を効率化
Power Platformの中でも中心的なツールとなるのが「Power Apps」だ。手順に沿って機能部品をドラッグ&ドロップして配置することで、開発エンジニアでなくても簡単にアプリの作成が可能となる。Power Appsで開発したアプリとTeamsを組み合わせることでTeamsが業務のハブとなり、業務効率を上げる手段にもなる。
ここからは、「勤怠、健康管理」「オンライン会議」「日次業務報告」の3つのシーンで活用できるアプリとTeamsを連携させた業務効率化事例を紹介する。これらは全て数日から数週間で開発可能なものだ。
1.勤怠報告、健康管理アプリ
1日の業務の始まりは勤怠報告からだ。いまだコロナ禍の収束が見えない現在、従業員の健康管理の一環として勤怠とともに日々の体温を管理したいというニーズがある。テレワーク中心の働き方では勤怠管理でさえも面倒な上、日々の体温もとなると管理の荷が重い。
Power Appsで開発した勤怠・健康管理アプリをTeamsのメニューに組み込むことで、Teamsで勤怠と体温報告を可能にする。業務開始時に出勤ボタンをクリックして業務開始報告を行い、次のポップアップで体温を報告する。バックグラウンドでは勤怠管理システムなどと連携しているが、従業員はそれを意識せずに利用できる。
2.Teams会議の日程調整アプリ
多数の参加者で開催するWeb会議の日程調整も骨を折る作業の一つだ。これを効率化するのがWeb会議日程調整アプリだ。作成したアプリをTeamsのチャネルのタブに埋め込むことでメニューからアプリを呼び出せる。アプリでWeb会議の開始時刻と終了時刻を設定し、開催候補日時の範囲を設定すると、「Microsoft Outlook」のデータを基に参加者全員のスケジュールが空いている日時を自動的に候補として表示され、全員の都合の合う日時を選択して、会議招待メッセージを送信することでWeb会議の日時調整が可能となる。
3.他システム連携の日報アプリ
1日の業務の締めくくりは日報入力だが、これを面倒に感じる従業員も多い。その負担を軽減できるのが日報アプリだ。最後に日本マイクロソフトでも利用しているという、「Microsoft Dynamics 365」(以下、Dynamics 365)と連携させた日報アプリの例を紹介しよう。
Dynamics 365からデータを抽出した顧客案件一覧をTeams上で呼び出し、案件ごとの活動内容をTeamsで登録、記録する。活動報告をする際もOutlookで既に登録されているのスケジュールなどのデータを参照し、時間や参加者、場所、活動の種別などを入力できるようにした。この報告内容は、Dynamics 365に自動的に保存される。
また、Power Automateでワークフローを作成しておけば、Teamsで「訪問レポート」など特定チャンネルに営業状況を自動的に投稿できる。マネジャーはそのチャンネルを見るだけで営業活動状況をリアルタイムに把握できる。また、このチャンネルを介して業務指示なども出せる。
Power Platformは「Microsoft 365」やDynamics 365、GitHubと同じ基盤で構築されており、安全性が確保されている。各種ツールは相互連携が可能で、Teamsを業務プラットフォームにすることで、業務効率化を図ることも可能だ。今後追加予定の新機能の情報と併せて、導入および活用の参考にしていただきたい。
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