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» 2022年06月07日 07時00分 公開

Slack活性化のコツは「褒めとノリ」 コープさっぽろがやって分かった6つのこと

アナログでレガシーな組織だったコープさっぽろが、デジタルシフトの一つの手段としてSlackを導入した。旧態依然とした組織に、どうやってSlackを浸透させることに成功したのか。同社が体験した6つのエピソードを紹介する。

[二瓶 朗,グラムワークス]
生活協同組合コープさっぽろ 緒方恵美氏

 「コープさっぽろは、2020年まではかなりアナログな組織でした。そして今も、正直レガシーな組織です」と切り出したのは、生活協同組合コープさっぽろの緒方恵美氏(デジタル推進本部 広報部部長)だ。

 コープさっぽろは、地元の住民が出資金を出し合って事業を展開する「生活協同組合」だ。現在、1万5000人の職員によって107店舗を運営している。商圏は北海道全域と非常に広範囲だ。札幌から根室までは自動車で8時間ほどかかるが、担当者は日々その長距離を移動しながら各店舗へチェックに回っているという。緒方氏はそういう意味でも「今もなおアナログでレガシーだ」と話す。

 特にコミュニケーションコストの課題は大きく、同社において軽視できるものではなかった。そこでSlackの導入を決めたのだが、コープさっぽろはデジタルツールに不慣れな従業員も多く、浸透と活性化が導入後の課題となった。本稿では、緒方氏が語った6つのエピソードを基に、Slack活性化と運用のコツを探る。

本稿は、オンラインセミナー「Slack Frontiers Japan」(主催:Slack Japan)における「ユーザー企業から学ぶ Slack の導入と展開から定着化と価値創出」(講演:生活協同組合コープさっぽろ 緒方恵美氏)の講演内容を基に編集部で再構成した。

Slack導入に不可欠な「ビジョン」「教育の計画」「ユースケース」

 同社に変革が起きたのは2020年のこと。これまでは組合内で何らかのトラブルが発生すれば各店舗から一斉に本部へ電話がかかり、本部の職員はもちろん全道各店舗の職員の疲弊は大きいものだった。またメールによる個別連絡も多く、本部職員は対処に四苦八苦していた。2019年辺りからこの現状を改善せねばという声が上がり、社内のコミュニケーション手段として「Slack」の導入を決定した。また同じタイミングで、元メルカリ CIOの長谷川 秀樹氏が、コープさっぽろの非常勤CIOとして就任したことも、同社のデジタル改革に拍車を掛けたきっかけにもなった。

 Slack導入の根本的なきっかけは「職員が自動車を運転して各店舗を回る業務を1回で済ませるにはどうしたらいいかという単純なことからでした」と緒方氏は振り返る。しかし従来の働き方にすっかり慣れた職員のデジタルリテラシーはそれほど高いとは言えなかったという。

 Slackの活用を進めるに当たって「ビジョン」「教育の計画」「ユースケース」の3つが重要だという。コープさっぽろもこの3つの指針に沿ってSlackの導入、活用を進めていった。同氏はそれを「6つのエピソード」に分類して話した。

Slack導入の進め方のコツ(出典:イベント投影資料)

エピソード1:「まずは、絵文字でしょ」

 社内での情報伝達をメールからSlackへと移行させるに当たって、緒方氏が提案したのは「絵文字」の活用だった。まずは、同氏が所属する広報部内で絵文字の使用を広めていった。Slackでは絵文字のカスタマイズも可能で、オリジナル絵文字の作成も含めて絵文字によるコミュニケーションの推進を図った。

まず絵文字の活用を推進(出典:イベント投影資料)

 今までメールによる連絡では「お世話になっております」から始まり、それに対して「かしこまりました」「確認致しました」とテンプレート的に返信していた。そうした手間を「OK」という意味合いの絵文字で代用するところ始めた。緒方氏は「絵文字って実はすごく優秀で、“交流の要”にも“承認の証”にもなるのです」と語る。

「交流の要」であり「承認の証」にもなる絵文字(出典:イベント投影資料)

 ある従業員から緒方氏にSlack経由で「プレスリリースの校正をお願いします」と依頼が来たら「OKです」というハンコ状の絵文字を投稿する。これだけで長々としたやりとりをすることなく、緒方氏が「承認した」という意志が伝わる。こうして「まずは絵文字を使って楽しくやりとりしよう」という提案からSlackは活用は始まった。

エピソード2:トップも“ノリノリ”になる柔軟性

 コープさっぽろ理事長の大見英明氏は63歳で、人によってはITを敬遠しがちな年齢層だ。

 「Slackなどデジタルツールの導入は、若い担当者に任せてしまうこともあるかもしれません。しかし、われわれはSlackを広める前に、まず理事長に効率的な使い方を話しました」(緒方氏)

 すると理事長はSlackに大きな興味と理解を示し、自身もチャンネルを作るなどかなり“乗り気”になったという。「早めにトップが動いてくれたことが、Slackの普及に大きな影響を与えたと思います」(緒方氏)。実際に理事長は職員がやりとりしているチャンネルに時折り顔を出してコメントしたり、絵文字を送ったりするようになったという。

「組合員の声お知らせ」に理事長のスタンプが押され、職員はどよめく(出典:イベント投影資料)

 「組合員の方々からのご意見を共有する『組合員の声のお知らせ』というチャンネルで寄せられた意見を共有すると、理事長が『深く感謝』というスタンプを送ったことで皆がどよめいたことがありました」(緒方氏)。

 それが「社内の皆が使っている」という印象が全社的に広まるきっかけにもなった。経営陣や上司が率先して使うことで「自分も使ってみよう」という意識が広まるのだ。また同社では、業務改善についてチャンネルで職員が対話していたところ、理事長が「すぐ改善することはむずかしいが今後の新規事業の中で考えたい、理事長より」とコメントを残したこともあったという。こうしたトップの柔軟な動きがSlack活性化の後押しとなった。緒方氏は「メールだけでは絶対に起こり得ないことでした」と振り返る。

エピソード3:「SOSレンジャー」がすぐに助けに来てくれる

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