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IT資産管理ツールの導入状況(2022年)/前編

キーマンズネットは「IT資産管理ツールの導入状況」に関する調査を実施した。前編となる本稿では「導入状況」や「利用形態」「管理端末」「1ライセンス当たりの導入コスト」を紹介する。併せて調査した「WSUS」の利用状況から、IT資産管理ツールとの住み分け状況も分かる。

» 2022年11月10日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2022年10月7〜21日にわたり「IT資産管理ツールの導入状況」に関する調査を実施した。前編となる本稿では、IT資産管理ツールの「導入状況」や「利用形態」、ツールで管理する「対象端末」や「1ライセンス当たりの導入コスト」を紹介する。

 また、併せて調査した「WSUS」(Windows Server Update Services)の利用状況から、IT資産管理ツールとWSUSの意外な住み分け状況が分かった。

IT資産管理ツールの導入状況や別年度比較

 はじめにIT資産管理ツールの導入状況を調査したところ、リプレースの有無にかかわらず「既に導入済み」が50.2%、「必要性を感じない」が17.9%、リプレース含め「導入を検討」が17.5%と続き、全体の半数が導入済みという結果となった(図1)。

図1 IT資産管理ツールの導入状況

 2021年10月に実施した前回調査と比較しても、従業員数の増加に比例して導入率が高くなる傾向や、約100人を超える企業帯から導入済みが過半数となる傾向に変化は見られなかった。

 利用形態は「パッケージソフトウェア」が46.8%、「SaaS」(Software as a Service)が21.4%であった(図2)。前回調査との比較ではパッケージ導入が5.1ポイント減少する代わりに、SaaS利用が3.2ポイント増加した。

図2 IT資産管理ツールの利用形態

 2019年4月実施の前々回調査と比べると、パッケージ導入は3年半で19.9ポイント減少しており、年々SaaSへの切り替えが進んでいる。SaaSは大企業を中心に利用が進んでおり、1001人以上の企業ではパッケージ導入とSaaS利用の割合がほぼ拮抗(きっこう)している。

1ライセンスいくらなら導入する?

 IT資産管理ツールで管理しているクライアント台数は「10001台以上」が最も多く22.7%、次いで「1001〜5000台」(20.1%)、「101〜500台」(18.2%)となった。管理対象は「Windows端末」が98.7%と大多数で、次いで「タブレット端末」(25.3%)、「USBメモリなどの外部記憶媒体」(24.7%)、「スマートフォン」(23.4%)と続いた(図3)。

図3 管理対象となっている端末や機器

 1ライセンス当たりの導入コストは「1000円未満」が34.4%、「1000〜3000円未満」が29.9%であり、6割以上が3000円未満の予算で導入している(図4)。

図4 1ライセンス当たりの導入コスト

 IT資産を管理する部門としては「情報システム部門」(67.3%)が約7割と多数で、他には「総務などの間接部門」(27.4%)や「事業部門」(10.6%)などがあった(図5)。

図5 IT資産管理を担当している主部署

IT資産管理ツールとWSUSの併用も?

 Windows端末の利用が大多数であったことから、更新プログラムの管理にWSUSを活用してコスト軽減を図る選択肢もあるだろう。利用状況を調査したところ「他ツールへの切り替えを検討している」(5.3%)も含め48.5%と約半数が利用している(図6)。

図6 WSUSの利用状況

 WSUSを利用することで得られたメリットとしては「更新プログラムの適用状態の把握」(50.0%)が最も多く、次いで「更新時のインターネット回線へのトラフィック軽減」(20.3%)、「Windows OSやOffice製品など配布する製品の管理」(17.2%)となった(図7)。

図7 WSUSを利用することで得られたメリット

 特に2021年には「Windows 11」がリリース、2022年には「Windows 10」の大型アップデート(Windows 10 2022 Update)があり、負荷のかかるアップデートが続いたため、更新時の管理コストやトラフィック軽減に寄与する機能が重宝されたと考えられる。

 「Windows OS」や「Microsoft Office」「Windows Server」など、複数の更新プログラムを無償で集中管理できることが大きなメリットとして認識されたようだ。プログラム配信対象や時期、端末ごとの管理状況をより細かく把握したい、設定したいなど、IT資産管理ツールと組み合わせて活用するケースも多い。

 以上、前編ではIT資産管理ツールやWSUSの導入状況と利用状況を紹介した。後編でも引き続きIT資産管理ツールを取り上げる。テレワークの増加など外部環境の変化を背景にツールに求められる機能に変化はあったかどうかなどを中心にユーザーの声を紹介する。

 なお、全回答者数263人の内訳は、情報システム部門が38.8%、製造・生産部門が12.5%、経営者・経営企画部門が11.4%などだった。グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

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